災害支援活動を経験して感じた「災害時にキャンピングカーにできること」とは
災害支援活動を経験して感じた「災害時にキャンピングカーにできること」とは

災害支援活動を経験して感じた「災害時にキャンピングカーにできること」とは

2018年から家を断捨離して、中古キャンピングカーでバンライフ&リモートワークをしながら日本一周をしています。

昨今、災害大国になりつつある日本は、いつどこで災害が発生してもおかしくない環境になっていると感じます。そんなとき、クルマはいざというときに自身や家族を助けることができるアイテムのひとつとなるのではないでしょうか。


今回は、私が夫とともに台風の被害を受けて停電したエリアへキャンピングカーで訪問し、支援協力した際に経験したことをお話します。

台風上陸後の被害状況を目の当たりにして


2019年9月、千葉県に台風15号が上陸しました。


最大瞬間風速57.5m/sを記録し、観測史上1位。千葉だけでなく首都圏や静岡県でも死亡・重軽傷者の人的被害がおきました。木や電柱が倒れて道を塞ぎ、大規模な停電や断水、屋根瓦がはがれるなどの建物損壊の被害も多く発生。2020年秋現在も、建物損壊の被害については未だに修繕完了していません。


台風上陸から2日目には「道路が寸断されている」という情報があったので、私たちはニュースやSNSで情報収集しながら、出発準備をしました。


キャンピングカーは車高があるため、あまり小回りが利く車体とはいえません。迷惑にならないようにするのは、どう動けばよいのだろうかを頭を悩ませていました。


一抹の不安を抱きながらも情報収集を続け、まずは千葉県南部の市役所の指定場所へ。移動中に見た街中の景色は悲惨で、木や看板は根本から横たわっており、日本一周開始後に初めの訪問先だった千葉県の見知った景色とはまったく異なっていました。


家の屋根や壁は崩れ落ち、リゾート地の看板も飛んでいて、海沿いは潮の香りよりも土の香りが。ある場所では棚が逆さまになり、屋根瓦が落ちて粉々になり、それらが道路沿いに広がっていました。


実際に現地を訪問して被害状況を目の当たりにし、「これは普通の台風じゃない。大きな災害だ。」と、強く感じたのを覚えています。

支援活動と発電機の威力


私たちは、台風で被害が発生してから3日目に現地に入りました。途中立ち寄った高速道路のサービスエリアも停電しており、この日の気温は32度、前日は34度以上とかなり高く、停電エリアでは暑さで体調を崩してしまうかたも多かったようです。


千葉県南部の市役所窓口から「物資が少ない施設への供給と、電源を提供するクルマとしての加勢」として許可をいただき、指定された場所に向かい、支援活動を開始しました。


日が暮れると停電している地区は真っ暗。どこに建物があってどこが道路なのかもわからないほど暗く、被害に遭われたかたは本当に心細かったようです。

 


停電4日目の朝、市と市の境目部分が物資の行き渡っていないスポットになってしまっているという情報を聞き、そちらの地域へ向かいました。移動中に見かけたかたが困っていたようすだったので声をかけ、駐車場を貸していただき、その場でこの日の支援活動を開始。


ここでは主に携帯電話・スマホの充電・炊飯器を炊くお手伝いをしました。また、私の持っていたポケットWi-Fiが奇跡的に電波につながっていたため、地域のかたに使っていただいたところ、4日ぶりに県外のお子さんや親戚に連絡が取れたと涙されるかたもいらっしゃいました。


この日は朝から夕方までずっと発電機を使用した支援活動をしましたが、発電機搭載型キャンピングカーの偉大さを実感。これまではキャンピングカーの発電機を長時間回しっぱなしにしたり、大勢のかたの生活のお手伝いをする日がくるとも思っていませんでした。


「4日ぶりに温かいご飯が食べられる。ありがとう」と言っていただいたときは、胸にこみ上げるものがありました。


普段の生活では、温かい食事が食べられることや、冷たい飲み物が飲めることが当たり前になっています。不測の事態に陥ったときに初めて、この当たり前が本当にありがたいことなのだと痛感するのかもしれません。



停電5日目。この日も報道で情報が上がっていない地域に向かい、前日同様に1番最初に出会ったかたに声を掛け、駐車場を解放していただきました。


発電機による携帯・スマホの充電、お米の炊飯をお手伝い。ここでも「5日ぶりに温かいごはんが食べられる。おかずになる物は冷蔵庫が使えないからダメにしてしまった。缶詰があったら良かった」と、みなさん口を揃えておっしゃっていたのが印象的でした。


その後断水しているエリアにも伺い、キャンピングカーの清水&温水タンクからお水を配布。できる限りのお手伝いをさせていただきました。



連日、日没後も県外ナンバーの電気工事車両が何台もいて、復旧作業をしていました。北は青森、南は福岡ナンバーまで、各地から応援に駆けつけているようです。


きっと県外から応援にいらしている工事車両の方にもそれぞれに家族がいるはず。いつまで拘束されるかが不透明な中、みなさん必死に夜通しの作業をしていました。


また、大手飲料メーカーさんも早々に停電エリアに飲料の支援をされており、各々がそのときできることをしようと、現場の人々は一致団結していたのです。

災害支援に役に立った「発電機」、デメリットと日常生活


私たちが中古キャンピングカーを選んだ理由はいくつかありますが、そのうちの1つが発電機を搭載していたことです。


発電機の燃料はクルマのエンジンと同じ燃料タンクから供給されていて、車内(室内)からボタン2つで発電機を稼働できます。操作が手軽な点もポイントが高いです。


発電機にはメリットがたくさんありますが、当然いくつかのデメリットもあります。発電機を稼働すると大きなエンジン音がしてとてもうるさいですし、排気口の近くでは排気ガスも発生し、臭いも感じます。


「発電機を使って良い」とされている場所以外は、普段使いすることが非常に困難なのです。


今回発電機を長時間稼働しましたが、普段使いが難しい発電機をここまで長時間使用したのは初めて。発電機を支援のために使えたことは良い経験になり、「あって良かった」と強く感じました。

停電・断水時にキャンピングカーオーナーができる支援とは


キャンピングカーごとに機能の違いはありますが、水タンク搭載型の車両であれば、水の支援ができます。また車体から車外へ電源供給ができる車両であれば、電源車としての支援も可能。サイドオーニングがあれば日除けにもなりますし、冷蔵・冷凍庫があれば、氷や冷たいものを支給できます。


暑さ・寒さに対する支援として、インバーターや発電機でエアコンをつけて、車内を解放するのも良いかもしれません。電子レンジがあれば、食事を温めることもできますね。


また、ポータブル電源やソーラーパネルもありがたい存在。「電気のある生活」に慣れている人たちにとって、最強のアイテムとして活躍するのではないでしょうか。

キャンピングカーでの支援活動を終えて


私たちが活動するなかで、支援活動自体に嫌悪感や疑問を抱くかたもいらっしゃり、実際に「個人で活動して現場を混乱させているのではないか」という批判もありました。


けれど私たちは、自分たちのできる範囲でお手伝いをしようと決めて現場に行き、市の窓口に動き方を共有してもらいながら行動することにしたのです。


スーパーやコンビニで食材を買ったり、服を洗ったり、買ったりすることもできない。クルマのガソリンを給油することも難しい・・・。もしそうなったとき、人はきっと助けを求めたくなるのではないでしょうか。


現代に生きるすべての人が、1人では生きていないはずです。困ったときは「助けて」と声を出しても良いのではないでしょうか。そして困っている人がいたら、すこしでも余裕のある側が手を差し伸べるべきだと考えています。


今回の経験を活かし、常に心の片隅に人を思いやる気持ちを持てる人間でありたいと、私は思っています。

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