「Local Vanlife Project in Hakusan」は7月より、白山麓地域の住民が中心となり、民家・商店・事業所などの駐車場や空き地を、バンライファー/車旅人向けの車中泊スポットとしてシェアサービスの「カーステイ」に登録、地域密着で生活体験ができる「文化体験」に加え、バンライフ拠点を整備、関係人口の増加を図ります。
さらに、体験型の車中泊観光ができるよう、軽トラックの荷台に木製の“家”を載せた「モバイルハウス(可動産)」をKIT建築学部の学生が製作します。モバイルハウスは、従来の移動手段に加え、車内で就寝・仕事が可能なプライベート空間を持つ“動くホテル”です。
このモバイルハウスは、キャンピングカーなど車中泊仕様の車に特化したCarstayのカーシェアサービス「バンシェア」に登録し、キャンピングカーを持たない旅行者が白山市を訪れた際、白山麓方面でバンライフを体験できるように、白山麓地域の住民が運用します。また、制作にあたり石川県内の木材を使用することで、地域産業の活性化にも貢献します。
7月中に、CarstayとKITの学生がモバイルハウスのデザインについて協議し、8月中にモバイルハウスを完成させ、9月から旅行者向けに地域観光プランを提供開始予定です。
モバイルハウスの製作にあたり、2019年5月から2020年4月までモバイルハウスで全国各地を生活しながら旅した金沢市出身の“生活冒険家”赤井成彰氏が講師として「Local Vanlife Project in Hakusan」に参画しています。
モバイルハウスでの旅行は、新型コロナウイルス感染拡大防止のための3密(密閉・密集・密接)を避けることができ、公共交通機関・宿泊施設が少ない地域で、自由な車旅を楽しむことができる、コロナ収束後の時代に求められている、新しい旅行手段です。
白山麓地域含め、全国の地方の現場では、鉄道の廃線や人口減少、老齢化、宿泊施設の減少や廃業、事業の後継者不足など、観光だけでなく、生活や経済基盤の存続は深刻な課題となっています。
そこで、モバイルハウスを取り入れた、新たな旅のスタイル「バンライフ」による観光促進や関係人口の増加は、既存の遊休観光スポットや社会インフラを工夫して利活用し、最小限の観光投資で実現可能なため、試験的な施策としても有効です。
実際に、同県能登半島の穴水町川尻地域のシェアハウス「田舎バックパッカーハウス」では、国内初となる長期間滞在可能な車中生活拠点“住める駐車場”「バンライフ・ステーション」を2019年12月に開設。「カーステイ」に登録したところ、これまでで2組のバンライファー夫婦が最短1ヶ月、1組が最長3ヵ月間“駐車場”に滞在し、田舎での生活を体験、バンライフの取り組みが県内で盛んです。
なお、Carstayは、東京都が主催するスタートアップ支援事業「NEXs Tokyo」に選出されており、「NEXs Tokyo」のパートナーが石川県白山市であることから「Local Vanlife Project」の第一弾目として白山麓地域を選択しました。
Carstayは今後、石川県内含め全国で「Local Vanlife Project」を推進、プロジェクトの連携パートナーとして、地方自治体・事業者・学校法人を募集しています。
また、現在、Carstayでは、新型コロナウイルス感染症拡大を受け、全国の医療機関の休憩や診療スペースなどとして、キャンピングカーを無償で貸出するプロジェクト「バンシェルター」を運営しています。観光だけでなく、災害時でもキャンピングカーなどの車中泊仕様の車両を防災インフラとして利活用すべく、地域貢献活動にも取り組んでいます。
< 石川県内の「カーステイ」車中泊スポット: 12箇所(7月10日現在) >
※バンライフ: 車を通じた旅や暮らしにより、“人生を豊かにする”ことを目的として、荷台スペースが広い車“バン”を家やオフィスのように作り変え、車を働く・遊ぶ・暮らしの拠点とする新たな“ライフ”スタイル。