能登地震で被災しながらも車中泊場所を提供し続ける「田舎バックパッカーハウス」。今後の展望は?

年間30-40日、家族4人でハイエース+キャンピングトレーラーで車中泊しながら、サーフィンやスキーなどアウトドアを楽しむ。 冬だけ雪国で二拠点生活するなど、「旅」をテーマに場所に縛られない働き方・ライフスタイルを満喫中。

2020年の夏に3日間、2021年の夏に2週間。

車中泊旅でお世話になった、石川県能登半島の「田舎バックパッカーハウス」。


2024年の1月に発生した「能登半島地震」によって被災したものの、現在も車中泊場所を提供し続けています。

2024年のゴールデンウィークに「田舎バックパッカーハウス」のオーナーでもあり、友人でもあるイクさん家族のところを訪ねてきました。


今、能登半島は震災からの復興はどのくらい進んでいるのか。

車中泊旅は行ける状況なのか。

そして被災してしまった「田舎バックパッカーハウス」は今後どうなるのか。


今だからこそ見えてきた現地のリアルな状況をお伝えします。

GWに能登半島車中泊旅を決行した理由

2021年の車中泊旅で利用


今まで2回能登半島を訪れ、車中泊旅のベースとしてお世話になった「田舎バックパッカーハウス」

特に、2021年はコロナ禍で子供たちの遊ぶ場所さえ少ない状況の中、夏休みに家族4人で伸び伸び暮らせる場所に行きたいと、2週間もお世話になった場所です。



能登半島には、美しい海と里山の両方があり、海沿いの街には昔ながらの民家が立ち並び、日本古来の原風景を思い出させる場所。

多少不便な分、豊かな自然があり、何より人が温かく、そして私たちの暮らしにはない非日常が味わえる。



そんな能登半島が地震の被害に遭い、何かできることはないかと考えていました。

そこで、今年のGWにお手伝いできることはないかとイクさんに連絡を取ったところ、こんなメッセージをいただきました。

「手伝ってもらうと言うよりも、家族みんなで一緒にバーベキューしたり楽しい時間を過ごしたい。そしてこんな言い方も変だけど、観光しにきたら?今の能登半島の現状を子どもたちも一緒に見ておいた方がいいよ」

徐々に復興が進んできている状況ということもあり、石川県や能登半島にお金を落とすべく車中泊旅に行こう!と決めたのでした。

田舎バックパッカーハウスの被災状況

金沢市街から「千里浜なぎさドライブウェイ」を通り、志賀町から能登半島へ。

金沢では地震の被害はまったく感じることはありませんでしたが、志賀町の「巌門」という観光スポットのあたりから、道路に亀裂が入り隆起している様子が見受けられました。


雁門めぐりの遊覧船

雁門めぐりの遊覧船は営業しており、我が家で船を貸切。

やっぱり能登の海は本当にきれい。この景色が見れただけでも来た甲斐がありました。


そして、かつてサーフィン&車中泊で訪れた私たち家族のお気に入りスポット「琴ヶ浜海水浴場」へ。

ここも地震の爪痕が酷く、かつて子供たちが探検した洞窟は岩場ごと崩れ落ちていました。



その日の夕方に、「田舎バックパッカーハウス」のある穴水町に無事到着。

地震以降初めて、イクさんファミリーと無事再会できました...!


ここは、敷地内にある古民家で共有のトイレやキッチンやリビングなどが使えるのですが、今は家の中の家財道具はすべて片付けられている状況です。


建築物の被害状況の調査で「要注意」の判定を受け、家の柱と梁は少し傾き、壁も一部破損している状況。

水道は3月に復旧したそうで、ライフラインは問題ありません。

キッチン、トイレ、シャワーなども変わらず使えました。

ひとまず、アウトドア用のテーブルや椅子をリビングに持ち込み、夕食の準備。




能登は新鮮な海産物は多いものの、穴水町の台所とも言われる「どんたく」というスーパーが被災して1月からずっと営業中止の状態です。

(7月初旬にはオープンするそうです...!)

そこで「美味しい肉が食べたい」というイクさんのリクエストを受けて、金沢で食品を多めに購入し、加えて私の地元新潟の美味しいお肉を持参しました。

(私の高校からの友人が経営する料亭「かも川本館」さんからのご提供)




以前「田舎バックパッカーハウス」に車中泊している時も、こうしてイクさんファミリーと一緒によく食卓を囲みましたが、今回も念願のバーベキューが一緒にできて良かった...!

ここに来るまでに色々なことを乗り越えてきたかと思いますが、かつての変わらない「田舎バックパッカーハウス」の穏やかな時間を過ごすことができました。



バーベキューのあとは、家財道具が片付いて広々した古民家の中で、子供たちの鬼ごっご大会。

こんなにドタバタしたら壁や床が崩れるんじゃないかと思うくらい、賑やかな夜でした。


輪島〜珠洲の道路・観光地の様子

珠洲市の様子


翌日は、一番地震の被害が大きかった輪島・珠洲方面へ。

道路はところどころ亀裂が入った箇所はありますが、ひとまず修復してありました。



橋はすべて隆起しており、道路との繋ぎ部分を補修している状態で、かなり起伏があるので走行には注意が必要。キャンピングトレーラーを引っ張っての走行は難しい感じです。

(今回はハイエースのみで行きました)


道路脇の民家は震災当時の崩れたままで、解体していない家も多くありました。

珠洲にある奥能登を代表する名勝「見附島」(別名:軍艦島)に到着。


見附島

島の南東部が崩落し、半分くらいの大きさになっていました。

「縁結びの鐘」も当時のままで残されていました。


道路はまだ修復が済んでおらず通れないところもありますが、観光地は訪れることができます。

飲食店もまだ数は少ないですが、営業を再開しているところもありました。



珠洲にある「かふぇれすとらん きへえどん」が営業していたので、こちらでランチをいただきました。


旬の山菜や土地の美味しいものがあって、すごく美味しかったです!


お昼を食べたあとは輪島に向かったのですが、輪島が近づいてくるにつれて地震の爪痕を感じさせる景色が広がっていました。



そして最初に目にした景色が、これでした。


メディアで頻繁に報道されていた、鉄筋コンクリート造の7階建てのビル。

輪島塗の老舗企業が入った築50年のビルですが、震度6強の揺れに耐えきれず根本から倒れました。

撤去が進まないのは、ビルが倒壊してしまった原因を探るための調査など、色々理由はあるようです。



そして、2021年に輪島に観光にきた際に立ち寄った銭湯「白山湯」。

入り口には「2024年の1月2日から営業」と書かれたままの張り紙がしてありました...

今どき珍しい番台のある銭湯で、レトロな雰囲気が大好きだったのですが、こちらは被害も大きく閉業だそうです。



たくさんのお店や民家が未だ倒壊したままの街並みを歩いて、朝市方面に向かいました。

そこには信じがたい光景が....



地震による大規模火災で、焼失した様子がそのまま残っていました。

輪島の朝市の跡地

今まで見てきた建物の倒壊とは違って、戦争後のような風景に思わず言葉を失ってしまいました...

子どもたちもなぜこのようなことになってしまったのか、理解できないようでした。


輪島の朝市の跡地ですが、6月5日より建物の解体や撤去を行政が費用を負担して行う「公費解体」が始まったようです。

6月4日の時点で、5125棟の申請に対して、121棟の公費解体が完了しているとのこと。

(2024年6月5日のNHK NEWSより)


輪島の「朝市通り」の公費解体が進むにつれて、ここは更地になって復興も徐々に進んでいくのかなと思います。

ただ、今のこの状況を自分の目で見ておくことも、能登地震の被害状況の大きさを知っておくのに大切だと思いました。


この辺りは観光地や銭湯、飲食店などはほぼ営業していないですが、コンビニやドラッグストアなどは営業していました。

能登半島は車中泊なら旅することが可能


「田舎バックパッカーハウス」ですが、駐車場で車中泊できて、古民家の共有キッチンやトイレ・洗面・シャワーなども使えるので、変わらず営業しています。


ドラッグストアも穴水町内にあるので、簡単な食材など必要なものは手に入ります。

また、七尾市や志賀町・能登町でスーパーは営業しているので、そちらで食材は十分手に入れることができます。


能登半島の、特に被害の大きかった地域の宿泊施設は、建設関連の業者さんや災害派遣のボランティアさんに提供されているので、利用は難しいかと思います。

ただ、車中泊だったら旅をすることは可能です。


観光施設や飲食店など徐々に営業を再開してきていますので、応援するつもりでそういったところを訪れてお金を落とすのも良いと思います。

何より、能登地震がどれだけの規模でどれだけ町に被害を与えたのか、ニュース等ではなく自分の目で見ておくのは大切だなと実感しました...

能登の人気車中泊場所、今後の展望は

田舎バックパッカーハウス

「田舎バックパッカーハウス」は、今は建物内の家財道具は全て片付けられている状況です。

建物は震災の影響を受け、老朽化も進んでいるので解体を行うそう。

今は公費解体の実施待ちになるそうです。


建物解体後、この「田舎バックパッカーハウス」はどうするか、オーナーのイクさんに聞きました。

この建物の後ろには畑があるのですが、ご覧のとおり、かなりの広さがあります。



隣の土地も、近所の人に使って良いと言われているそう。


右側には川が流れており、SUPなどで向こう側に見える海に出ることもできます


ここを使って広大なキャンプ場にし、テント泊や車中泊の人も使える場所にしたいとのこと。

今後、トイレや炊事場などの設備も整え、後々キャンピングカーも数台置いて、ここから能登半島への車中泊旅のベースにし、リアルな能登暮らしやバンライフを提供できる場所として、発展させていきたいと話してくれました。


震災直後は余震も続いていて、先の見えない状況にかなり打ちのめされたこともあったそう。

でも、「生きている限り何でもできる!」と腹を括り、今できることをやっていくとのこと。


「田舎バックパッカーハウス」の今後の展望を語るイクさんから、しっかり前を見つめて一歩一歩歩んで行こうとする力強い想いを感じました。


そして、この場所は能登を観光したいから来る場所ではなく、イクさんの人柄に惹かれて来る場所なんだなということを、改めて再確認しました。


この記事を読んで、「今こそ能登を応援したい!」と思った方は、ぜひ足を運んでいただければ嬉しいです。

そして、能登半島の魅力的な車中泊スポットとして、「田舎バックパッカーハウス」が素晴らしい再スタートが切れるよう、応援いただければありがたいです。


Carstayと「田舎バックパッカーハウス」は、7月1日から以下のキャンペーンを実施するので、ぜひ参加してみてください。


◆Carstay、キャンピングカー/バンライフによる能登復興支援ツーリズム「奥能登応援割キャンペーン」実施 〜 宿泊施設不足や二次交通などへの対応、「関係人口」増加と「2地域居住」を後押し



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