最近人気が出ているキャンピングカー。あの大きな車に乗ってみたい、旅してみたいと思ったことはありませんか?
でもキャンピングカーって普通の車と違って特別なルールがある車なのであは?と思っている人も多いはず。
普通免許で運転できるの?車検はどうするの?維持費はどのくらい?そんな疑問を2回に分けて詳しく記載します。
第1回はキャンピングカー選びの際に気になる「キャンピングカーと運転免許の関係」です。
特に、大きなキャンピングカーを購入したいと思っている人には、一度読んでいただきたい内容です。
ルールを知っているのと知らないのではキャンピングカー選びの観点が大きく変わってくる免許の話。ぜひご覧ください。
バンライフやキャンピングカーのイベントで他の参加者の方々の大きなキャンピングカーを見ると、いつかはこんな大きなキャンピングカーをDIYで改装してバンライフをしたいなぁと野望が湧いてくるのですが、そんなときに気になるのが「これ、普通免許で運転できるの?」という疑問。
さすがに今から大型免許を取るのも気が引ける…と思いながらオーナーさんに話を聞いてみると、意外と「この車、普通免許で運転OKですよ!」という返事をもらったりします。
いやいや、これもうバスみたいですよ?だってこの車、何mあるんですか?高さもありますよね?!
疑問が増えていく中「できるだけ大きな車をDIYしてバンライフをしたい!」という自分の野望に向けて、しっかりと調べてみました。そうしてわかったのは、自分のもっている普通免許で運転できる車の幅広さ。
日本国内の免許制度にしぼって、以下で詳しく解説します。
1991年に創設されたAT限定免許は、AT(オートマ)車限定で運転できる免許です。この限定範囲はキャンピングカーでもそのまま適用されます。ATのキャンピングカーは運転でき、MT(マニュアル)のキャンピングカーは運転不可。普通の車と同じ条件なので、ここはシンプルなルールです。
キャブコンやバンコンのベースとなるトラックやバンなども、今ではほとんどがAT車。海外から輸入されたキャンピングカーも、その多くはAT車。よっぽどの特殊車でない限り、AT限定免許がキャンピングカー選びの障害になることはあまりなさそうです。
キャンピングカーとしては特殊なタイプになりますが、「キャンピングトレーラー」という選択肢もあります。車の後部に箱のようなトレーラーを連結して牽引するタイプです。普段乗っている車に、必要なときだけトレーラーを連結して牽引します。キャンピングカー選びの際に存在を知った人もいるかもしれません。
これはもちろん牽引免許が必要、だと思われがちですが、実は重量が750kg未満のトレーラーであれば牽引免許無しで運転が可能なのです。
条件がサイズではなく750kg未満という重量であることがポイントで、自動車と違ってエンジンなどは搭載していないので、750kg未満という制限内でもかなり大きなトレーラーが存在します。
大型免許を取得した人は、牽引免許が必要な大型のトレーラー以外で一部を除いてほぼ全てのキャンピングカーを運転できますが、普通免許の運転のみOKの場合、気になるのは「自分の持っている普通免許で、大きなキャンピングカーを運転できるのか」ということだと思います。
ところが、この「普通免許」が曲者なのです。過去2度の道路交通法の改正により、免許の種類が細分化され、それまで持っていた普通免許がいつの間にか中型免許に変わっていたりします。反対に、オーナーさんが「このキャンピングカーは普通免許で運転できるよ」と言ったとしても、実はそのオーナーさんの免許は実は中型免許で、現在の普通免許では運転できない可能性もあるのです。
これがキャンピングカー選びを複雑にしている要因のひとつ。これから詳しくみていきましょう。
2007年6月2日の道路交通法の改正により、それまで普通免許(車両総重量8t未満、乗車定員10人以下)と大型免許の2種類だけだった免許制度に、新たに中型免許(車両総重量11t未満)が新設されました。
これに伴い2007年6月2日以降に取得した普通免許で運転できる車は車両総重量5t未満、乗車定員10人以下となりました。また、2007年6月1日以前に取得した普通免許は、それまで運転可能だった車両総重量8t未満の車に乗れるように、中型限定免許(8t)という免許に変わりました。
さらに2017年3月12日に準中型免許(車両総重量7.5t)が新設され、普通免許で運転できる車は3.5t未満となりました。ここでも同じく、それまで5tまで乗れる普通免許を所持していた人は、準中型限定免許(5t)という免許に変わっています。
まとめると2020年現在、以下の6種類の免許が存在しています。
◆普通免許:3.5t未満
◆準中型限定免許:5t未満
◇準中型免許:7.5t未満
◆中型限定免許:8t未満
◇中型免許:11t未満
◇大型免許:11t以上
ここで厄介なのが、以下の3つの免許。
◆普通免許:3.5t未満
◆準中型限定免許:5t未満
◆中型限定免許:8t未満
2007年以前だと、どれも免許取得時は「普通免許」として取得していることになりますが、現行の法律では3つに分けられるのです。
2007年以前に普通免許を取得していた私も、2007年の改正で自分の持っている「普通免許」に「8t未満の車に乗れる」という条件が追加されたのだと思っていました。この記事を書くために自分の免許証も確認したら「中型」と記載されていて「普通」の文字はどこにもありませんでした。今まで気が付かなかった…!
そんなわけで、キャンピングカーのオーナーさんが自分が乗っているのだからと「普通免許で乗れるよ!」と言っていても、実は免許取得のタイミングによって準中型免許や中型免許が必要な場合があるので注意が必要です。
親のキャンピングカーを借りて運転していたら、実は無免許運転だった、なんてことにならないようにしっかりと確認しましょう。
これまで車両総重量にしぼったお話でしたが、実はもうひとつ注意しないといけないポイントが乗車定員です。
◆普通免許:10人以下
◆準中型限定免許:10人以下
◇準中型免許:10人以下
◆中型限定免許:10人以下
◇中型免許:29人以下
◇大型免許:30人以上
中型免許は29人まで、大型免許なら30人以上もOK。そしてそれ以外の免許は10人まで。
乗車定員11人以上のキャンピングカーとなると、マイクロバスなどのバスを改装したバスコンになります。
では、バスコンは普通免許や中型限定免許では運転できないかというと、そうでもありません。
改装する際に座席を外して乗車定員を10名以下にして構造変更を済ませれば、乗車定員の問題はクリア。あとは車両総重量による制限内であれば普通免許でもバスコンの運転が可能です!
2007年以降の2度の道路交通法改正によって、それまでに免許を取得した人にとっては区分が非常にわかりにくくなっています。
お店で購入やレンタルをする場合は、自身の免許証を手元に持ったうえでお店の人にしっかり確認するのが一番だと思います。国内で市販されているキャンピングカーは、一部を除いて普通免許で運転できるように作られている車が多いため「普通免許だから選択肢が少ない!」ということはあまりないようです。
注意が必要なのは海外製の大型キャンピングカーやバスコン、そしてそういったキャンピングカーを個人間で借りて運転するときです。自分の免許では運転できない車を運転してしまうと、無免許運転になってしまいますので、自分の免許で乗れる車をしっかりと確認して、楽しくキャンピングカーライフを満喫しましょう。
▼キャンピングカーの車検についてもぜひお読みください▼
今回の記事で参考にしたサイトはこちら(埼玉県警察HP)