「キャンピングカーの車検」とは?購入やDIYの前に知っておきたい車検のルール

「箱根移住夫婦の休日バンライフ」の旦那の方。DIYと運転担当。

筆者は以前「キャンピングカーを購入してDIY!その前におさえておきたい免許のルール」という記事を書きました。



今回はキャンピングカーの車検や法律についての話です。これからキャンピングカーの購入を考えている人や、車をキャンピングカー仕様にDIYしようと思っている人には、ぜひ読んでもらいたい内容となります。


【この記事の内容】

  • キャンピングカーってどんな車?
  • 日本のナンバー制度
  • キャンピングカーの構造要件について
  • どちらも同じハイエース。バンとワゴンの違いって何?
  • ナンバーによって違う、車検の有効期間


日本のナンバー制度や車検制度はとても複雑です。今回は初級編として、ナンバー制度やそれによって変わってくる車検についての基本をまとめてみました。


実際にDIYをする時の注意点など、さらに詳しく踏み込んだ内容は後日「上級編」としてまとめますので、お待ちくださいね。

「キャンピングカー」ってどんな車?


まず、広い意味での「キャンピングカー」とは、「寝泊まりできる設備を備えた自動車」のことです。


そういった意味では、わたしたち夫婦が所有するDIYしたバンもキャンピングカーではあるのですが、あえて「休日バンライフ仕様にDIYしたバン」と呼んでいます。



キャンピングカーに興味を持って色々と調べている人であれば「キャンピングカーは8ナンバー」というイメージを持たれることもあるかと思います。実は、この「8ナンバーの車」というのは国土交通省の定める「用途区分通達」に構造要件が細かく決められています。この要件を満たしていない車は8ナンバーを取得することができません


つまり広い意味でのキャンピングカーとは寝泊まりできる設備を備えた車のことですが、8ナンバーをもつキャンピングカーは、国土交通省の定める車の区分の構造要件を満たしたもののみを指します。それ以外の車は乗用車や貨物車ということになります。

日本のナンバー制度


さて、いきなり「用途区分通達」という難しそうな言葉が出てきました。用途区分とは、車を使用用途ごとに分けて、税金や要件仕様を決めようというものです。街中で見かける車のナンバーの上の段、地域名(陸運支局名)の後ろの3桁の数字でその車の区分がわかるようになっています。


乗用車であれば5ナンバーや3ナンバー、キャンピングカーは8ナンバーなどはよく耳にするかもしれません。これらはこの3桁の数字の先頭の1文字のことを呼んでいます。わかりやすくまとめるとこうなります。


  • 乗用車(5ナンバー・3ナンバー)
  • 貨物自動車(4ナンバー・1ナンバー)
  • 特種途自動車(8ナンバー)※「トクダネ」とも呼ばれます
  • 乗合自動車(2ナンバー)


8ナンバーのキャンピングカーも特種用途自動車の1つになります。他にもパトカーや消防車、輸送用の冷凍車など、特殊な用途で使用するため他の車とは別の基準が必要な車が特種用途自動車に分類されています。


乗合自動車とは乗車定員11人以上のマイクロバスやバスなどのことですが、トヨタのハイエースや日産キャラバンなどでは乗車定員14名に設定されているものがあり、それらも2ナンバーとなります。ちなみに、乗車定員11名以上の車を運転するためには大型免許や中型免許が必要で、普通免許や準中型免許、中型限定免許では運転できません。


乗用車の5ナンバーと3ナンバーの違い、貨物自動車の4ナンバーと1ナンバーの違いは、車体のサイズや排気量によって変わります。一定の基準以内の車は5ナンバーや4ナンバー、それを超える大きな車が3ナンバーや1ナンバーとなります。


さらに、乗用車の5ナンバー、貨物自動車の4ナンバーの中でも小型の車が軽自動車と呼ばれ、ナンバープレートの色が黄色になります。

DIYした車で8ナンバーは取れるのか?キャンピングカーの構造要件について


ここ数年、日本でもバンライフや車中泊がブームになってきていて、ハイエースなどをベースにして車内にキャンピングカーに負けない装備をDIYで自作している車も増えてきました。こういった車であれば、8ナンバーのキャンピングカーとして登録できるのでしょうか?


ここで問題になってくるのが先程の構造要件、この中にキャンピングカーとして8ナンバーを取得するために必要な条件が細かく指定されています。


まず就寝スペース。乗車定員の3分の1以上が就寝できる就寝設備が必要。長さや幅、就寝スペースから天井までの高さなど細かな数字が定められていますが、ここはちゃんと調べればクリアできそうです。


もう1つ指定されているのが、「要件を満足する水道設備及び炊事設備を有すること」という要件。水道設備はそれぞれ10Lの貯水タンクと排水タンク、シンクと蛇口。そして蛇口から水を出すためのポンプ。炊事設備としては30cm×20cm以上の調理台と、カセットコンロなどの熱源。ここまでなら問題なくDIYできそうです。


問題になってくるのが、この水道設備及び炊事設備の前に1600mmの高さが必要、という要件です。国産のバンで最大サイズであるハイエースのハイルーフでも、型(発売年度)により多少の差がありますが車内高はほぼ1600mm。床や天井に断熱材を入れたり板張りにすると、1600mmを確保できません。


このため自作DIYでの車中泊仕様車の多くが8ナンバーを取得することができず、乗用車や貨物自動車としての登録のままとなっています。

どちらも同じハイエース。バンとワゴンの違いって何?


同じハイエースでも「バン」と「ワゴン」の2種類あることに気がつくと思います。これは先ほどのナンバーの区分の違いで、貨物自動車はバン、乗用車はワゴンと呼び分けています。


もちろん呼び方が違うだけではなく、制動装置(ブレーキ)の仕様など細かく規定されています。その中で車中泊仕様車にDIYする際に気をつけたいのが、乗車スペースと荷室スペースの問題です。


我が家のバンもそうですが、荷室全体を木で覆ったDIYをよく見かけます。その際に後部座席を取り外して乗車定員を減らして構造変更するのですが、乗用車(人が乗るための車)であるワゴンでは、運転席の後ろの空間の50%以上を乗車スペースが占めている必要があります。


つまり後部座席を全て取り外してフラットにするようなDIYがしたい場合は、ワゴンではなくバンをベースにするか、乗用車から貨物自動車へ構造変更する必要があるということです。

ナンバーによって違う、車検の有効期間


車の維持費の中でも特に負担が大きいのが定期的にやってくる「車検」ですよね。実は車のナンバーによって車検の有効期間が違います。


乗用車は5ナンバー、3ナンバー、軽自動車すべて同じで初回3年、2回目以降は2年となっています。キャンピングカーを含む8ナンバーは初回も2回目以降も2年ごと、乗合自動車は初回も2回目以降も1年ごとになっています。


貨物自動車については少し複雑で、まずは軽自動車は初回も2回目以降も2年ごと。それ以外はナンバー(1ナンバーか4ナンバーか)には関係なく、車両総重量が8t未満の車は初回2年、8t以上の車は初回1年、2回目以降はどちらも1年ごとに車検が必要となっています。

DIYにおける、キャンピングカーとワゴンやバンの違い


車検に関連して8ナンバーのキャンピングカーとそれ以外の車で、1つ大きな違いがあります。車を持っている方は経験があると思いますが、車を車検に出すときには車内の荷物を全て降ろすことになります。


8ナンバーのキャンピングカーでは、キッチンやベッド、トイレやシャワーなどは設備として備わっているのでそのまま車検を受けられます。

しかし、乗用車や貨物自動車をDIYした車中泊仕様車ではこれらの設備は法律上「荷物を載せているだけ」ということになります。


つまり、車検を受ける際にはキッチンやベッドなどの設備を取り外して、降さなくてはならないのです。DIYする際にこのことを頭に入れておかないと、車検を受ける際に大変な思いをすることになってしまいます。

車検のことをしっかりと確認して、DIYを楽しもう!


キャンピングカーやバンライフに関連する車検には、細かい決まりがたくさんありますね。


SNSやYouTubeで海外のバンライファーのDIYの様子を見ていると、本当に自由奔放に感じますが(失礼…!)、日本国外では車検という制度そのものがない国も多くあります。


車検のルールをあまり調べずにDIYをしてしまうと、思わぬ落とし穴にはまり、車検の際に痛い思いをしてしまう可能性があります。せっかく完成した自慢の車が車検に通らなかったなんてことにならないよう、車検のこともしっかりと調べてDIYに取りかかりましょう。



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