地域おこし協力隊の私が考えるモバイルハウスを通じたまちづくり|稲本真也

初心者バンライファーです!

VANLIFERS特集では、車で生活する次世代のライフスタイル「VAN LIFE(バンライフ)」を送る、素敵な方々をご紹介します。今回は、京都府京丹後市弥栄町の地域おこし協力隊として活動し、地元木材でモバイルハウスを製作する活動を行う、稲本真也(いなもと・しんや)さん(※ 写真1番左)にその活動について伺いました!

車中泊しながら移動できるライフスタイルが自分にマッチ、そして移住を決意!

稲本さんのバンライフ歴と、キッカケを教えてください

7~8年前くらいからですかね、車中泊にはハマっていました。当時、東京で旅行会社に勤務していたのですが、車でしか行けない秘湯を巡る「秘湯部」という部活を作って、日本全国の野天(外にある天然温泉)を車中泊しながら訪れていました。そのときのマイブームが「写真撮影」だったこともあり、天気やシーズンによって撮りたい景色が変わるので、車中泊しながら自由に車で移動するライフスタイルは自分にマッチしていたんですよね。


結構昔から車中泊されていたのですね!京都に移住されたのはいつからですか?

京都へ移り住んだのは、2018年7月からですね。旅行会社で色んな地域を訪れたり、趣味で旅をしていたせいか、将来ずっと東京で企業勤めをしているイメージがあんまりなかったんですよね。漠然と違う場所に行きたいなあ、今まで住んだことのない場所で生活してみたいなあと考えていました。実は最初は海外に行こうと思っていたんです。そこで、とりあえず海外で会話が出来るように英語を勉強しよう!と考えて、フィリピンに3ヶ月間、語学留学をしたり、色んな国を見て回っていました。そんな中、ちょうど当時の彼女(現在の妻)の地元で、地域おこし協力隊の募集があって。ちょうど、地域創生というミッションにもチャレンジしてみたいという気持ちがあったことと、エリアやタイミングにご縁を感じて、応募させて頂き、今に至りますね。


すごいご縁ですね!ちなみに、まだ弥栄町は訪れたことがないのですが、どんな場所なのでしょうか?

弥栄町は、京都府京丹後市の山間部にある集落です。2004年に周辺市区町村と合併して京丹後市になりました。日本らしい里山の原風景が残っている場所で、「手掘りトンネル」「野間川」「森林公園スイス村」などが有名ですね。ただ、過疎地なので、人口減少による地域課題があったりします。例えば、森林保全の課題。移住してから、"海が汚れているのは川が汚れているから、川が汚れているのは山が汚れているから"ということを教えて頂きました。都会に住んでいた頃はイメージ出来なかったんですけど、森林って手入れが大切なんですよね。山はある程度、木を切っていかないといけない。そこで、隊員として、森林保全の活動をしている際に、こう思ったんです。"こんなにたくさん木を切るなら、切った木を何かに活用出来ないかな?"って。


地元京都の木材を使ったモバイルハウス。木の温もりが感じられます

制作スピードが半端ない!軽トラモバイルハウスの誕生!

なるほど!それで、軽トラモバイルハウスが誕生したのですね!

そうなんです。実は、最初はタイニーハウスやコンテナハウスもいいかな?と思っていて。そこで、友人に相談したところ、すでにコンテナハウスを作ってる人がいる!ということで、龍本司運さんをご紹介頂いて。2019年1月、しうんさんのいる金沢までにすぐに見に行ったんです。そしたら、私の友人がコンテナハウスのことを、軽トラモバイルハウスと勘違いしていて(笑) そこで、初めてモバイルハウスの存在を知りました。生憎、しうんさんのモバイルハウスゆんゆん号が冬眠中だったので、彼の友人の赤井成彰さんのToby号を2月に見せてもらえることになって。"こんな面白いものがあるんだ!"ってワクワクしましたね。そこで、すぐに3月にモバイルハウスの製作に着手し始めました。


なんと素敵な空間...!クッションも可愛いですね♪

スピード感が半端ない...!モバイルハウスは稲本さんが1人でつくられたのですか?

いや、僕は作りたかったんですけど、当時建築が未経験だったんですよ。DIYとかもしたことなくて知識ゼロ(笑) なので、まずは仲間集めから始めました。地元の木工所さんや建築関係の仕事をしている人に相談していったら、「丹後木工所」さまとご縁を頂けてモバイルハウスチームが完成しました。一級建築士の方に図面を描いてもらって、木工所の機材を使ってまずは1台目を完成させました。しかし、家と同じような方法で製作したら、結構時間もコストもかかってしまって。もっとシンプルに作れないか?事業としてやっていけないか?と考えたときに、ちょうどTVチャンピオン軽トラハウス王」のネット記事を拝見して。優勝者の木内良さまのログハウスを作る方法を応用して、製作されていたのに驚いたんです。1枚の板を組み合わせて作って壁を積み上げていく方法で、とてもシンプルなつくり。2台目はこちらの方法で作ろう!と決め、4月に2台目の製作に着手しました。


この写真のものが2台目です!

作りながら技法を改良されていったのですね。2台目は作ってみていかがでしたか?

それが、結構上手くいったんですよね。慣れもありましたが、1台目に比べてスピーディに、2週間弱で作ることが出来ました。なぜ急いでいたかというと、ちょうどゴールデンウィークに「アースデイ丹後2019」というイベントがあって、そこでモバイルハウスを展示予定だったんです。そして、出展してみたら反響が本当にすごくて


"動く秘密基地"に子供達も興味津々!


小さなお子様から、お年寄りまで、幅広い世代の方に喜んで頂きました。京都府内の木材を使っているという点も褒めて頂きましたね。このとき、元々は自分が好きで作ったものだったけど、実際に他の人にも喜んで頂けたのが嬉しかったですね。


最高のエンタメ空間、固定概念井とらわれないアスレチックモバイルハウス

おおお、確かにこれは特に子供達からしたら最高のエンタメ空間ですよね!笑顔が眩しいです!

そうなんですよ!本当に、子供達は1回モバイルハウスに乗ったら、楽しくなっちゃって、全然帰りたがらなくて(笑) もともと知らない子たちが、一緒にモバイルハウスで遊んだら、仲良くなったりしてて。最初は、"ただの軽トラックの上に乗った箱"だと思っていたんですが、全然違ったんですね。モバイルハウスは可能性が無限大だと、本当にそう思ったんです。そして同時に、固定概念にとらわれないものを作ってやろう!という想いも芽生えました。



そこで、3台目は子供向けの「動くアスレチックカー」をつくりました。1階から2階に梯子とクライミングで登ることが出来て、天井がないのでそのまま外を見渡せて、出口から滑り台で降りれるようになってる日本で唯一のアスレチックモバイルハウスをつくりました。その後のイベントでは、案の定、さらに多くの子供に喜んで貰えましたね。

動くアスレチックモバイルハウスすごすぎる...!稲本さんもこれで出掛けたりするのですか?

僕は2台目のもので出かけるのが好きですね。モバイルハウスで妻と車中泊旅に出掛けることもありますよ。実際に体験してみて分かったのですが、木材だけで作っているので、湿度を調整する効果があるので、結露が起こらないんです。あとは、外見よりも内側は予想よりも広くて快適でしたね。モバイルハウスで海とか最高ですよ!


"動く海の家"にもなるんですね!

確かにこれは最高ですね!ちなみに、今後の稲本さんの野望を伺っても宜しいでしょうか?やはり、、、

もう予想されちゃってますね(笑) はい、予想通り、4台目、5台目と作っていく予定です。とにかく、作る過程がすごい楽しいんですよ。そこで、今作っている過程をYouTubeに纏めて配信しています。あと実は、結構「モバイルハウスを購入したい!」というお声をたくさん頂いているんです。そこで、より耐久性や安全性を追求しながら、販売やレンタルをしていこうと思っています。モバイルハウスが売れれば売れるほど、地元の林業にお金が落ちて、森林保全に繋がるようなお金の流れを作っていきます。あ、特に、”最近、旅行がマンネリ化してきたなあ...!"という方にモバイルハウスに乗って欲しいですね。車でしか行けない景色が綺麗な場所や、出会えないような宝の山のような体験って、日本全国に眠ってると思うんです。そこで、まずはここ弥栄町から、モバイルハウスで地域を周遊できるような仕組みを考えています。


何でもいいから興味がわいたらまずはやってみよう!

モバイルハウスがレンタル出来るなんて夢のようですね!それでは最後に、そんな新しい旅・暮らしの1つ”VANLIFE”に興味を持つ読者のみなさまにメッセージをお願いします!

最近、有難いことに、若い人たちの前で話す機会が増えたのですが、いつも言っていることがあるんです。それが、「何でもいいから、興味があることを、まずやってみること」です。それがお金に繋がるのか? とか、 やる意味あるのか? とか関係ないんです。もし、興味が沸いたら、それでも損得とか、世間体とか関係なしに、まずやってみるべき。やってみた先には絶対何かがあると思うんですよね。僕にとってモバイルハウスがそうだったように。ぜひあなたが今興味を持っている"何か"を、とりあえず始めてみては、いかがでしょうか?

お話を伺った方:稲本真也(いなもと・しんや)さんプロフィール

京都府京丹後市弥栄町の地域おこし協力隊員。オリジナルのモバイルハウスを製作・販売中。



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