世界一周を経験した大人が運営する、刺激的な大学をご存じでしょうか。
「わたしをつくる。冒険」をテーマに、自分色に輝きたい学生と一緒に、冒険する世界一周大学を創立・運営する中村雅人さん(以下:MaSaToさん)。
人間の可能性を探り続けるMaSaToさんはバンライフをしながら、次なる企てをされているようです。
MaSaToさんの今までの葛藤や旅を通してみえた世界を、赤裸々に語っていただきました。
初めて海外旅行にでたのは、20歳のときでした。
もともと、旅に出るまでは、人生に悩んでばかりだったように思います。
最初に悩み出したのは高校に進学したときでしょうか。周囲の意見に流され、中学生のときから打ち込んでいたサッカーを、進学と同時にやめてしまったんです。代わりに、どれだけ友達と遊んでも、勉強をしても、サッカー以上に好きなことには出会えませんでした。
大学進学を目前にしても、自分がしたいことが分からず、学部を選ぶことができなかったんです。
最終的には人生の指針になっていたサッカーの存在の大きさに気づき、もう一度スポーツに関われる学科へ進学を決めました。
大学3年生になり就職時期が近づいてくると、今まで以上にこれからの人生に悩みましたね。
プロのサッカー選手を目指すには、ハードルが高すぎる。
就職して、給与が年齢と共にあがっていく生活にはワクワクしない。
「自分だからこそ経験できる人生を生きたい。」
そのために自分の気持ちに向き合い、やりたいことを書き出してみたんです。
世界中に友達をつくりたい、綺麗な海が見たい、英語を話したい、自分らしく輝きたい・・・
本当の思いに気がつき、まずは海外へ飛び立つことを決めました。
それが初めての海外、フィジーへの留学でした。
初めての海外だったので何もかもが新鮮でしたが、特に世界一周をした人との出会いが印象的でした。
彼が自身の目でさまざまな景色をみてきたことがかっこよく、映画のような話に心惹かれましたね。
また、日本にはない価値観や幸せの姿を知り、自分にとっての幸せを考えなおす機会にもなりました。
その問いがきっかけで、フィジー留学後にはフィリピンへの留学、スラム街にいる子どもたちの支援など、さまざまな活動を始めたんです。
帰国後はフィジーで出会った彼の影響で、世界一周への想いが高まっていましたが、同時にお金を稼ぐことにも興味を持ち始めました。
何度も旅をすることにより、今まで経験したことがない世界へ飛び込む体験自体が「旅」だと思えるようになったんですね。
だから当時の僕にとって、就職は旅。
そして、どうせ働くなら自分の可能性を試すためにも厳しい会社を選び、完全歩合制・ボーナス無しのベンチャー企業へ営業職として就職しました。
まずは3年間働いてみて、変わらず世界一周への想いが残っていれば実現しようと決めました。
入社をしてみると、1年目は営業成績がビリ、口座残高は月末に500円になるような生活。
ところが2年目には、成績は1位、月収が200万円になりました。
お金が手元にある状態になったものの、特に欲しいものがなかったので、100万円をあげたい人リストをつくってみたのですが、そうしたところリストにどんどん大切な友達の名前が増えていくことに、満たされている自分がいたんです。
お金が増えることよりも、大切な友達が増えている状態が好きなんだと気がつきました。
友達を大事にできる人生を歩めるように、就職して3年目に、友達に会いながら旅に出ることに決め、退職しました。
2年半で100か国以上をまわり、旅を通してたくさんの人や景色、価値観と出会う体験ができましたが、自分だけのものにせず、多くの人と分かち合いたくて2016年に学校をつくりました。
やりたいことが分からず悩んでいた学生時代を過ごしていた僕だからこそ、旅が自分を変えることを伝えられると思っています。
世界一周学校では世界一周大学を運営しており、日本中の大学生や社会人の方々と繋がりながら、自分が輝くフィールドを探求・探究する機会をつくっています。
そして、日本中の生徒に世界へ飛び出すきっかけを届けるのであれば、学校が動いて会いにいく方がおもしろいと思い、移動式学校をつくるためにキャンピングカーを購入しました。
約2年ほど、日本中をまわりながら授業をして、多くの人に想いを届けるきっかけをつくることができました。
日本をまわった後に、2019年頃からコロナと共に、好きな場所で生活ができるバンライフのブームがやってきました。
そんな折に参加したイベントで出会ったまおまお(ヘンミマオさん)のクルマを見て、「自分の個性がにじみ出ていてかっこいい!」と強く感じました。
同じように、イベントで出会ったバンライファーたちのクルマには自分の好きなモノやコトが詰め込まれていて、持ち主の人生や大切にしていることが表れていました。
その宝物たちを見るだけではなく、自分でつくることも楽しいと思い、僕らしさが溢れるクルマをつくろうと決めたんですね。
せっかくつくるなら、100か国以上旅をした僕だからこそ出せる色を出したい。
まおまおのアドバイスを受けながら、世界各国のお土産やお札、サハラマラソン・南極マラソンのメダル、パスポートなどが飾られた、ロマンいっぱいのクルマをつくりました。
今の車両には利便性を求めず、寝るスペースとパソコンが使えるスペースだけ確保。とにかく見た目を重視したクルマです。
言いだすとキリがないのですが、旅の中で人生に向き合い、自分の取り扱い方が見えた気がします。
旅に出る前は、人と同じことをしているほうが安心だと感じていましたが、実は自分から自分らしくいられない状況をつくってしまっていました。
「今」の人生を楽しむことは大切ですが、未来も楽しく、最高なものかを同時に意識するようになりました。だから、「今だけ我慢する」と自分に嘘をついて満足させ、大好きなものから遠ざかることはやめたんですね。
もうひとつ、世界をまわったことで「どこでも生きていける」自信がついたのは財産です。
世界一周をはじめた時に、この世界は僕らの学校だ!というテーマで、様々なことにチャレンジをしていく様子をブログで発信し続けていて、たくさんの人からメッセージをもらえました。
そのご縁が今の生活にも繋がっていて、世界一周学校を立ち上げるクラウドファンディングをすると3日で達成、日本や世界中に会いたいと言ってくれる家族のような仲間がたくさんできましたね。
そんな体験から、本当に好きなことをして誰かの喜びになれたら、全部うまくいくと信じるようになったんです。
それは、きっとお金を稼ぐよりも大切なことなのかもしれません。
また、日本中に友達ができたからこそ、バンライフを楽しめているんだと思います。
「セカダイ号」にはトイレもキッチンもないですが、いく先々にいる友達にご飯や持ち物をシェアしてもらえるので、不便には感じません。
バンライフをして、出逢った人から5円玉をいただき、世界のコインと合わせて100万枚を集め、世界地図をつくりたいと思っています。
僕自身、世界を一周した後に地図を見てみると「スイスにはマティアスがいて、ジャスミンはキルギスタンにいる。」と、地形図と線ではなく、もっと立体的で温かみを感じられたことを強く覚えています。
いろんなご縁で集まった5円玉で世界地図をつくると、世界で一番あたたかい地図ができると思うんです。
そこで、現在は世界一周の日である「3月6日」に地図を完成させ、ギネスブックに申請をしようと企画中。
集まった5円玉を使って、世界中の子どもたちを呼んで「世界の友達サミット」を開こうと思っています。
世界中に友達がいる子どもたちは、どんな世界を描くんだろう?
考えただけで優しく、ワクワクします!
書ききれないほどの感情や体験を経験されてきたMaSaToさんの生き様を伺うと、
もっと素直に生きてみてもいいのかも、と勇気をもらえました。今すぐ旅に出たくなりました!
2年半の世界一周を遂げ、これまで103カ国を旅した冒険家。「WAO!」と驚くようなチャレンジをして、「夢を全力で叶える」ことが大好き。好きな世界へチャレンジするための移動式学校「世界一周学校」設立者。サハラマラソン250kmや南極マラソンなど世界の砂漠マラソンも5つ走破。「世界の設定を突破していくチャレンジ」をテーマに未知なる世界へと旅している。
MaSaToさんのインスタグラムはこちら。