出会った場所も、今一緒にいるのも私たちはモバイルハウスでした| 龍本司運

初心者バンライファーです!

VANLIFERS特集では、車で生活する次世代のライフスタイル「VANLIFE(バンライフ)」を送る、素敵な方々をご紹介します。今回は、「荷台夫婦」こと、モバイルハウスに夫婦で生活し、"旅する小さな家"の魅力を日本全国へ広める活動を行う、龍本司運(たつもと・しうん)さんに、移動可能な新しい住まい方の可能性を伺いました!


全てを手放して始めたバンライフと原動力

しうんさんのバンライフ歴と、そのキッカケを教えて下さい

モバイルハウスに暮らし始めたのは2016年5月からです。私は幼少期を中国で過ごし、高校・大学はアメリカの学校を卒業しました。そして、2012年に帰国し、新卒で企業に就職したのですが、自己分析をしたら悟ってしまったんです。“サラリーマンやってる場合じゃない”って。そこで、社会を持続可能な方向に変えたいと思い切って起業。しかし、その事業で大失敗して。そこで、お金も所有物もすべてを手放して、旅に出ました


すごいスピーディな決断ですね…! その旅で、車旅と出会ったのでしょうか?

いいえ、お金なかったので(笑) まずは、京都から沖縄まで「無一文の旅」をしました。移動はヒッチハイクと徒歩、宿泊は現地で仲良くなった方の家、もしくは野宿という毎日を約半年間ほど過ごしました。そして、沖縄にあるエコビレッジに3ヶ月滞在した後、“自分のルーツを知りたいな”って思って。そこで、中国の北京から雲南省まで2952km、半年間かけて中国徒歩横断の旅をしました。途中で、標高4962mのチベット高原地帯の山越えもしました


え、中国を徒歩で!? しかも5000m級の山越えまで…信じられないです。そのモチベーションは何だったのでしょうか?

サティシュ・クマールというイギリスの思想家に影響を受けました。彼は、25歳のときにインドで核廃絶のメッセージを届ける平和巡礼を、徒歩で13000キロ、2年間 “無一文”で行なったんです。人って、自分の足で、何も持たず、旅を出来るのかと。そして実際に、歩いてみて感じたことは、旅と人生は似てるなって。途方もなく遠いゴールでも一歩一歩自分の力で歩み、時には他の人の力も借りながら歩み続けていけば必ずいつかはたどり着ける。そんなことを考えながら、次は憧れのインドに行きたいなと。思想とカオスが往きかう国を、自分のこの身で感じたい。そう思って、インドに旅立ちました。そして、そのときに運命的な出会いがあったんです。到着したインドの空港で、必然的な偶然で日本人の木工職人の旅人に出会って。これからモバイルハウスを作りたいと夢を語った自分にこう言ってくれたんです。「よかったら、日本に帰ったら工房を貸してあげるから、モバイルハウスを一緒に作らないか?」って。それが私とモバイルハウスを作り出すはじめの一歩でした。



運命的な出会いと思わぬ展開

インドでの出会いからモバイルハウスに結びつくのですね…! では、その後はその工房へ?

はい。そこで帰国後は、長野県北安曇郡にある「シャロムヒュッテ」というコミュニティへ行きました。そして、オーナーであった臼井健二さんと出会い、「ここで働きながら、モバイルハウスを作ったらどうだ?」と言ってもらえて。2016年5月から、軽トラキャンパーに住みながら、半年間かけて、仕事の合間にモバイルハウスをDIYで作りました。もともと、自然と共生する持続可能な暮らしを求めていた自分にはぴったりの場所でした。そして、ちょうどモバイルハウスが完成した頃に、シャロムで一緒にスタッフをしていた女性と結婚することになりました。もちろん、プロポーズはモバイルハウスの中です(笑)。これが私の人生の転換点でした。そして、妻と一緒にモバイルハウス「ゆんゆん号」で旅する暮らしをはじめました。


モバイルハウスでプロポーズ…!とても運命的な出会いですね。それからずっと「ゆんゆん号」に?

はい。ちなみに、モバイルハウスの中はこんな感じになってます。私は身長185cmあるのですが、自分がまっすぐ立てるほど室内は広々としてますよ。普段から荷台で生活して、妻と仕事をしたり、ご飯食べたり、寝たりと悠々自適に暮らしてます。気分転換に、好きな時に好きな場所へ移動することが出来るので、それが何よりモバイルハウスの良いところだと思っています。まるで「動くリビング」みたいな感じですね。



そんな中、2018年5月のある朝、能登をドライブしてたら、対向車がぶつかってきて、ゆんゆん号が倒壊しちゃったんですよ。見事に横転して。幸いに怪我はなかったのですが、自分が作った愛着湧く居場所だったモバイルハウスがなくなってしまうのは、精神的にとてもショックでした。



好きな時に、好きな人と、好きな場所で暮らすことができる「モバイルハウス」

え、かなりの大事故に遭われたんですね。2人ともご無事で何よりでした…!

はい、でも横転事故があって、モバイルハウスと離れた生活を送ってみたら、実感したんです。やっぱりモバイルハウスって本当に素晴らしいなって。だって、「好きな時に、好きな人と、好きな場所で暮らすことができる」んですもの。でも一方で、モバイルハウスの危機管理も大事だなと実感しました。なぜなら、安全基準や、事故防止・事故対処のレギュレーションがないからです。そこで、“安心・安全にモバイルハウスに乗ってもらい、日本全国をフィールドに多拠点居住できる人を増やしたい”という想いで、2019年1月に「一般社団法人モバイルハウス協会」を仲間と立ち上げました。


確かにそんな“VANLIFE”的な生き方に憧れる方は多いと思います。ちなみに、具体的に協会はどんな活動をされるのですか?

まず、一緒にモバイルハウスを実践と普及したい仲間と「モバイルハウスサロン」を立ち上げました。僕の管理人を務めるFacebook公開グループの「モバイルハウスビレッジ」では1100人を超えるモバイルハウス愛好家の人たちがいるのですが、その中でも特に熱意ある仲間が集まってくれていて、現在約50名のメンバーとともに、安全性の基準などを作っています。また、「キャンパーフェス」という、“世界に1つだけしかないオリジナルのDIYモバイルハウスが集まる日本唯一のフェス”を2017年から主催していて、来年も開催予定です。モバイルハウスって、“自分の人生をこう生きたい”という生き方を自由に表現できるアートだと私は思っています。そんな個性溢れる日本全国のモバイルハウスが集結する場づくりを今後もやることで、より多くの方にモバイルハウスの魅力ともっと自由な住まい方の選択肢があることを知ってほしいです。



住む場所を決めないで、好きなように生きるために

「キャンパーフェス」ぜひ私も参加してみたいです!最後に、しうんさんが実践・普及されている新しいライフスタイル”VANLIFE”に興味を持つ読者のみなさまにメッセージをお願いします!

どこに誰と住むか」は、みんなに共通する人生の大きなテーマの一つだと思います。それは、「好きな時に、好きな場所で、好きなように生きたい」という理想なライフスタイルに繋がると思います。私たち荷台夫婦の結論は、「住む場所を決めない」というものでした。



そういう意味では、モバイルハウス遊牧民には無限の可能性があります。モバイルハウスを停める場所さえあれば、日本全国どこでも住まえる場所になりえます。もちろん、必ずしも全員が“可動産”に住む必要はないと思いますが、今の住まいや居場所に疑問を感じている方は、モバイルハウスを通じて、本来のあなたらしい生き方を、"Do It Yourself" あなたの力で表現してほしいなと心から願ってます。

お話を伺った方:龍本司運(たつもと・しうん)さんプロフィール

一般社団法人モバイルハウス協会代表理事。モバイルハウスビレッジ発起人。キャンパーフェス主催者。生きる実験家。荷台夫婦でモバイルハウス「ゆんゆん号」に乗って、旅する小さな家でVANLIFEを満喫中。


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