年間30-40日、家族4人でハイエース+キャンピングトレーラーで車中泊しながら、サーフィンやスキーなどアウトドアを楽しむ。 冬だけ雪国で二拠点生活するなど、「旅」をテーマに場所に縛られない働き方・ライフスタイルを満喫中。
前編では、世界一周キャンピングカー旅を子連れで成功させた雲野ファミリーに、安定した仕事や持ち家を手放して世界一周旅を決意した理由、旅の資金をどう工面したかや実際の旅のルート、そして特に印象に残ったおすすめのスポットなどの情報をお聞きしました。(前編記事はこちら👇)
後編の記事では、海外で車中泊場所をどうやって探していたか、旅ではどんなトラブルがあったのか。
5年間の旅の最中に、二人の子どもの教育はどのようにしていたかなど、海外のバンライフにまつわるノウハウなどをご紹介します。
家族で世界一周旅という偉業を成し遂げた雲野ファミリーだからこそ、これから新しいことにチャレンジしたい人に伝えたいアドバイスも語っていただきました。
※記事の最後に、雲野ファミリーの世界一周旅の軌跡をまとめた総集編動画を掲載しています。ぜひご覧ください。
Kazさん:陸路で国境を越える旅人には必須のアプリが「iOverlander」というアプリです。
キャンプ場やホテルなど宿泊場所を探すのに旅人の口コミ情報が上がっているんですけど、そこで車中泊場所を探すことができます。
GooglemapやMAPS.MEの地図に紐づいていて、スポットに合わせて行き先を決めるのではなく、世界中どこでも車中泊場所の情報があるので、行った先で泊まる場所を探すことができました。
Mimiさん:普通にGooglemapで探すと有料の宿泊場所しか出てこないんですけど、「iOverlander」は川沿いの場所や空き地・レストランの前の駐車場など口コミでないとわからない無料車中泊スポットの情報も出てくるんです。
口コミを投稿した日付もわかるので、最新の情報を元に場所を選んでました。
トイレがある、水道が使えるというのもアプリ上でアイコンで表示されるので、すごくわかりやすい。
ランドリーはここに行ったよ、wifiはここで繋がるよといった口コミも載っているので、バンライフに必要な情報がすべて揃います。
しかも「iOverlander」「MAPS.ME」は、事前に情報をダウンロードしておけば、ネットワークが繋がらない場所でも使えます。
ネットの環境がない場所もたくさんあったので、そんな時にすごく役立ちました。
世界一周の車中泊旅をするならこのアプリを入れておくのがおすすめです。
Kazさん:なので車中泊場所はこのアプリを使ったり、現地の人に泊まって良い場所やおすすめの場所などを直接聞いたりして、探しました。
無料の車中泊スポットがいくらでもあったので、世界一周旅で実際に泊まった先はほぼ無料車中泊スポット。
宿泊についてはほとんどお金は掛かっていません。
Kazさん:旅の5年間のうち3年間はキャンピングカーに泊まり、2年間はコロナで移動できなかったのでAirbnbで部屋を借りたり、Workawayでホストファミリーの家に泊まったりしていました。
これが良いリフレッシュになって、5年間旅を続けられたと思いますね。
Mimiさん:家族4人でずーっとキャンピングカー生活だと、自分のプライベートスペースもないので正直キツいんです。
日々の生活で水や食料品を毎度調達するのも大変ですし。
たまにホテルに泊まると、天井が高いのに感動したり、温かいシャワーが出たり、電気が思う存分使えたり、エアコンがあるのに幸せを感じました。
日本にいると当たり前にあるものなので特別感じないけど、旅をすることで恵まれた生活があるってすごいなと感謝できる。
旅をしたことで幸せのハードルがかなり低くなりました。
Kazさん:旅の間は24時間365日家族と一緒なので、たまには家事育児から離れて一人の時間を作ることも必要です。
特に妻は色々とやることも多いので、ホテルのある場所では妻が一人で泊まったりして、息抜きの時間を作るという工夫もしましたね。
Kazさん:カナダ、アメリカはバンライフ天国です。
他には南米アルゼンチン、アフリカ大陸ナミビアがバンライフしやすいと感じました。
アルゼンチンは国内キャンピングカーの需要が高く、文化・歴史・施設も充実しています。
多くのガソリンスタンドが車中泊OKでシャワー有り、無料給湯器あり、フリーWi-Fi完備のところもありました。
ガソリン代も当時60円〜75円と安かったこともあり、バンライフがしやすかったです。
ナミビアは実は、バンライフしやすい国として多くのヨーロピアンに認知されているんです。
公共交通機関が充実してないこともあり、多くの観光客がレンタカーで国内を回っていましたね。
四駆車&ルーフテントのスタイルが主流で、ナミビア四駆旅に特化した雑誌も発行されています。
Mimiさん:ペルーのピウラという場所の幹線道路沿いにあった地元のレストランで、昼食を食べていたときのことです。
突然、バイク2台に乗った3人組の男たちが現れ、入り口付近にいた客に銃口を突きつけたんです!レストランは一瞬で凍りつきました。
入り口付近のテーブルから順々にバッグや携帯が奪われていき、すぐに私たちを含め客全員が地面に伏せました。
もし強盗犯が次に私たちのテーブルにも来たら、そのときには抵抗せず荷物をすべて渡そうと考えていたところ、いきなりバーンという銃声が響き渡りました。
隣のテーブルにいた男性に目をやると、なんと腕に銃弾が当たって流血しているんです!
発砲した直後に強盗犯たちはバイクで去っていったので、5分間ほどのあっという間の出来事でしたが、その光景を見ていた息子たちは驚き、怖さで動揺していました。
負傷した男性も私たち家族も、幸いにも命に関わる重大な事態にならずに済みましたが、これほどまで身の危険を感じたのは人生で初めての出来事でしたね...
Kazさん:コロンビアでとある絶景があって、そこへの道中は道が悪かったんです。
ぬかるみがあることもわかっていたけど、地元の案内してもらった人からカズさんの車ならいけると言われて...
行きは通過できて絶景を見ることができたんですけど、帰りに見事にハマってしまいました。
タイヤに泥がたくさんついて、行きよりも条件が悪く、子どもたちが車の荷台に立ったのがバックミラーで見えて、つい減速してしまった瞬間でしたね。
板や石を噛ませても出れず、次の日に現地の人に車を引っ張ってもらってようやく脱出することができました。
次の日は土砂降りで雨が降るともっと出られなかったから、本当に間一髪でした。
ウユニ塩湖でも車がハマってしまい、抜けるのに3〜4時間かかりました。
現地の人がその様子を双眼鏡で見ていて助けに来てくれたんですけど、最後には見返りにお金を請求されましたね。
何とか交渉して、請求した金額の半分だけの支払いで済んだので良かったですけど。
世界一周旅を陸路でしようとすると、どうしても道路事情の悪いところも通らないといけません。
スタックやタイヤのパンクは旅のトラブルとしては多かったですね。
タイヤはアルゼンチンとアイスランドでも替えたんですけど、やはり車旅をするのに際して、タイヤが強いのは安心感がありますね。
Kazさん:メキシコに滞在しているときに、蚊を媒介とする伝染病チクングニア熱にかかりました。
なんと長男以外、全員が感染。
次男は40度の熱が出て、食べたものも吐いてしまい、見るからにつらそうでしたね。
その後、私と妻も感染しましたが、人生最強の頭痛と関節痛で今まで経験したことがない強烈な痛みでした。
妻は陣痛の次に匹敵するくらいの骨盤痛の痛みだって言ってましたね。
妻は痛み止めを飲んで凌いでいたけど、自分は薬に頼りませんでした。
チクングニア熱は自然治癒で特効薬もないので、治るのを待つしかないんです。
地元の人にパパイヤの葉が良いと聞いて、自生しているパパイヤの葉っぱを取ってきてそれを煎じて飲んだりしたけど、青汁みたいな苦味でしたね。
Mimiさん:あとは何と言っても、旅の途中で世界的なパンデミックに見舞われるとは全く想像していませんでしたね。
2020年3月グアテマラ滞在中にコロナが始まり、陸路国境が閉鎖されました。
結果キャンピングカー旅が足止めとなってしまい、半年間コンドミニアムを借り過ごすことに。
その後も国境が再開せず、グアテマラから以南の中米の旅を諦め、メキシコからコロンビアへ車を輸送しました。
結果的にトータル2年、キャンピングカー旅が足止めとなりました。
旅中に出会った沢山の旅人が、旅を諦め帰国しましたが、私たちは、仕事を辞め自宅を売却し、一大決心で日本を飛び出してきたため、簡単に帰るわけにはいかず...
コロナ収束まで待とうと夫婦で決めました。
先の見えない日々と、長引く自粛生活にイライラすることもありましたが、日本よりマスク規制は厳しくなく、またコロナ禍を過ごしたグアテマラもメキシコも多国籍な環境だったので、良い思い出となっています。
中南米は物価も安かったので助かりました。
また、自由に外出できなくなったことで、オンライン上の新しい繋がりも増え、世界中どこにいても発信できるし、繋がることができることを改めて実感しました。
コロナが既存の考え方を見直す機会となり、新しい働き方・学び方がより一層必要になっていくことを確信しましたね。
Kazさん:グアテマラ・メキシコ・ペルー・ニューヨークでそれぞれ学校に行きました。
グアテマラでは、行き始めて2-3週間でコロナで休校になってしまったんですけど、インターナショナルスクールへ。
メキシコ・ペルーでは、学童のようなアフタースクールにそれぞれ1ヶ月、ニューヨークでは地元の公立学校に2ヶ月間通いました。
学校ではすべて英語とスペイン語の授業で、長男の仁は馴染むのが早くて、すぐ友達を作って帰ってきていましたね。
ニューヨーク以外は授業というより遊びに近かったかな。
子供たちはカタカナで英語を覚えずに耳で覚えているので、発音が良いと褒められることが多いです。
リスニング能力は高くて、それは今も生きていますね。
Mimiさん:旅の間は学校へ通えないので、ホームスクーリングも実践していました。
読み書き計算は、日本から持っていった参考書やドリルを使ったり。
あと、長男が小学4年生から進研ゼミのチャレンジタッチを使い始めました。
音声とアニメーション付きで解説がわかりやすかったのと、電子書籍を自由に読むことができたのが助かりましたね。
あとは、実際に訪れた場所の歴史や宗教・自然環境などをYouTubeで勉強したりなど、自分の目で見て感じたことを体験+学習で深い学びになるよう心掛けました。
漢字の読み書き等は日本で学校に通っている同世代からはどうしても遅れているけれど、その分順応性やコミュニケーション力が十分にあるので、勉強の面は最初は苦労するかもしれませんが、いずれ追いつくと思っています。
今は色々経験したことは子どもたちの中で点と点になっていると思うけど、あとで学校で学んだ時にその当時を思い出してそれが線になって繋がる時がくると思います。
10年後、成長した時にそれを感じてくれれば良いなと思っています。
Kazさん:一言でいうと、記憶の配当ですね。
5年間の世界旅を家族全員で振り返られるのは、すごい財産だと思っています。
Mimiさん:子供が大きくなってくると部活や友達との付き合いで、親とは旅してくれなくなってきます。
この小さい時だからこそ行けたのは良かったなと思っています。
お金は散々使いましたけど、人生の財産やお金に変えられないものをたくさん得ることができました。
年をとった時にお金は使いきれないけど、記憶や思い出はずっと頭や心の中に残ります。
また、世界一周旅を始めなければ、決して出会うことのない人と出会うことができました。
旅を通じて交わる人が変わったし、たくさんの機会を得られたのは大きいですね。
Kazさん:世界一周旅から日本に帰ってきて感じたことは、どこに行っても「⚪︎⚪︎はやってはいけない」とルールでがんじがらめにされていること。
やってはいけないことばかりに縛られてしまうと、やってみようという気持ちにはならないですよね。
でも人生は一度きり、やりたいことを今やりましょう!大抵のことはなんとかなります。
一歩踏み出してみないと見えない景色はあるし、動かないと今の環境は変わりません。
仮に失敗したとしても教訓になります。
幸せの4因子というのがあるんですけど、やってみよう(自己実現と成長)、ありがとう(繋がりと感謝)、何とかなる(前向きと楽観)、ありのままに(マイペース)の4つが満たされていると人は幸せになると言われている。
これらを自問自答すると、自分の足りないところが見えてくるんです。
自ら主体的に取り組んで行くことで、幸福度は上げられます。
Mimiさん:私は両親の死を経験して、人生の時間は有限だと気付き、決断・行動ができるようになりました。
一歩踏み出すのは勇気がいると思いますが、自分がやりたいことをやっていると、同じようなタイプの人が引き寄せられてくるので、自分の心に素直になってやりたいことをやった方がいい。
自然と周りも似たような人たちが増えてくるので、人生の幸福度がぐんと上がりますよ。
人生一度きり、今やりたいことをやりましょう!
安定した仕事や家を手放して、5歳と2歳の子どもたちを連れての世界一周キャンピングカー旅はかなりの覚悟が必要だったと思います。
コロナという最大のトラブルもありましたが、諦めずに旅を続けた雲野ファミリーのすごさを実感しました。
何よりも自分たちの気持ちに正直に、リスクもある中でやりたいことを追求し続けた雲野夫婦の言葉は、どれも自信に裏付けされた確かなものです。
今から何だってできると勇気をもらえましたし、もっと自分のやりたいことをやっていいんだ!とインタビューを通してたくさん背中を押してもらいました!
雲野ファミリーは、父・和幸さん、母・秀美さん、息子・仁くん、悠くんの4人家族。
2019年から子連れで世界一周キャンピングカーの旅に出発。2024年5月に世界一周を達成し日本に帰国。
旅の様子はTBSの番組「世界くらべて見たら」にも数回特集されました。
帰国後は、世界一周旅の様子や旅を通じて学んだこと、気づいたことなどを各地で講演。
直近では、2024年9月28日に茅ヶ崎(うみかぜテラス茅ヶ崎)、10月26-27日にGLOBAL CAMPのイベント(富士山YMCA グローバル・エコ・ヴィレッジ)、11月16-17日にCAMPING CAR FAN FES(静岡県浜松市渚園キャンプ場)にてお話されます。
詳細はこちらからご確認ください。
年間30-40日、家族4人でハイエース+キャンピングトレーラーで車中泊しながら、サーフィンやスキーなどアウトドアを楽しむ。 冬だけ雪国で二拠点生活するなど、「旅」をテーマに場所に縛られない働き方・ライフスタイルを満喫中。