年間30-40日、家族4人でハイエース+キャンピングトレーラーで車中泊しながら、サーフィンやスキーなどアウトドアを楽しむ。 冬だけ雪国で二拠点生活するなど、「旅」をテーマに場所に縛られない働き方・ライフスタイルを満喫中。
ネットやAIの台頭、グローバリズム化など社会環境が大きく変化している昨今。
今までのやり方や常識が通用しない時代に入り、変化に対応する力が求められています。
テレビの出演等で目にする機会も多い、世界一周キャンピングカー旅を子連れで成功させた雲野ファミリー。
そんな雲野ファミリーも従来の概念にとらわれずに、今持っているものをすべて潔く手放し、”旅こそが子どもたちの最高の学校である”というポリシーを持って、壮大な旅を決断。
2019年6月から5年の歳月をかけて50カ国を巡り、2024年の5月にキャンピングカーと共に無事日本に帰国されました。
彼らが世界一周旅を決断した背景にあったもの、またどのような体験をしてきたのか。
夫の雲野和幸さん(通称:Kazさん)と妻の雲野秀美さん(通称:Mimiさん)のお二人にインタビューした内容を、前編と後編に分けてご紹介します。
Kazさん:神奈川県鎌倉市の一軒家に住んでいて、米海軍横須賀基地で20年間消防士をやっていました。
妻は7年間看護師と、二人とも安定した職についていました。
それまではキャンプはしていたけど、家族でバンライフはやったことがなかったんです。
私個人としては20代の頃からサーフィンをやっていた関係で、車中泊はしたことがあったので、車中泊へのハードルは低かったです。
サーフィンも20年間やっていて、その経験が旅につながっていると思いますね。
当時の車はピックアップトラックやハイラックスサーフでした。
家族ができてからは、キャンプはやっても車中泊は経験したことがありません。
なので結構色んな人にビックリされるんですけど、世界一周旅が家族での初めてのバンライフ、そして初めてのキャンピングカーでした。
Kazさん:昔から面白いと思うことにチャレンジすることが好きだったんです。
消防士時代にSASUKEに挑戦したり、アフリカ大陸の最高峰キリマンジャロ山(約5900m)に登頂したり。
2018年にサハラ砂漠を7日間で250km走るマラソンにも参加しました。
元々旅好きで、一人旅やサーフトリップで行った国は25カ国にもなります。
そんなこともあって、家族全員で世界一周するのが面白いと思い、挑戦してみたいと思いました。
あと、20年間消防士をしていて生活は安定していたけど、この先も同じような暮らしが続くのかな、それで良いのかなと自問自答していた時期でした。
Mimiさん:私は20歳の時に母が乳がんで45歳で亡くなり、父は肝臓の病気を患って62歳で亡くなりました。
母親の闘病がきっかけで看護師になったんです。
早くに両親を亡くしたことにより、若くても歳を取ろうがいつでも元気な保証はないなと改めて実感しましたね。
子供が生まれて育児・家事・仕事と精一杯で、人生を見つめ直す時間がなく生きてきたけど、本当に自分がやりたいことってなんだろうと考え始めるようになりました。
私は夫と付き合ってから旅の楽しさを知るようになって、夫婦で北米やヨーロッパを周遊したり、新婚旅行はスペインとモロッコでした。
なので自然と「二人で老後に世界一周できたら良いな」とぼんやり夢を描いていたことを思い出したんです。
明日が来るのは当たり前でないと痛感したし、人生の時間も有限なので、もっとやりたいことをやりたい。
私はすごく慎重派なので、きっと父の死がなかったら今までと同じ生活を続けていたと思います。
Kazさん:子供を一般的な保育園や幼稚園ではなく、里山保育をする「森のようちえん」に通わせていました。
そこで子供たちの成長を間近でみて、子供って自然の中で遊ばせると学びが大きいんだなと感じました。もちろん子供たち同士で喧嘩もするけど、自分たちで解決してしまう。
それを見て、子供ってこういう世界で生きた方が良いのかなと思いました。
それが小学校に入ると、チャイムで時間管理されて、受け身の授業を受けることに夫婦でずっと疑問を抱いていました。
Mimiさん:私も子供を自然の学校に通わせることにより、違う学び場があると知ったし、子供たちが成長していく姿をみて学校だけが学びの場ではないと思いましたね。
せっかくのびのびと育った子供が、小学校に入って管理された教育を受けるのってどうなんだろう?と。
だったら、世界一周の旅の方がよっぽど子供たちにとって「生きた教育」になるのではないかと。
旅先で様々な人種の人に出会ったり、机上だけではないリアルなものを見たり聞いたりすることが、子どもたちにとってより未来を生き抜く力に繋がると感じましたね。
Kazさん:Workawayという「泊まるところを探している旅人」と「働いてくれる人を探しているホスト」を繋ぐマッチングサイトが世界中で広がっていることを知りました。
それを使って、自分たちの持っているスキルを提供すれば、ホストから食事と寝る場所を提供してもらうことができるし、莫大な資金がなくても旅をすることができる。
現地の人との交流もできるし、本当の意味での多様性を学ぶためには、旅とWorkawayを組み合わせれば、子供の成長にはすごく良いだろうと思って決めました。
(ある夜、夫婦2人で「人生とは」というテーマで4〜5時間話をしていたそう。
夫婦のこうした価値観が合致し、Kazさんはその夜に行こう!と決断。
そうは言っても、当時下の子は2歳で二人の子供を連れての世界一周キャンピングカー旅は誰しもができることではないこと。
Mimiさんは最後までとことん悩んだそうです。)
Mimiさん:私は世界一周という壮大な夢にワクワクしながらも、私たちのエゴで子供たちの義務教育の機会を奪ってもいいのか、仕事をやめた後の保証もないし、色々考え始めると不安で1ヶ月間眠れない夜が続きました。
でも最終的に頭に残ったのは「人生一度きり」ということを、両親が死を以って教えてくれたということ。
親がやりたいことをやってみせる、親自身が楽しんでいることを子供に見せることの方が大事と、最後は決断しました。
Mimiさん:出発前に、夫が20年間勤めていた消防士の退職金と自宅を売った際の売却益、貯金と合わせて2,000万円を旅の資金にしました。
旅立つ前は、YouTubeで収益化できるだろうと考えていましたが、思いのほか難しく、微々たる収益しか得られなかったのは、想定外でした...
旅の間、雑誌やウェブメディア取材、記事寄稿、TBS『世界くらべてみたら』のテレビ取材で少し収入はありましたが、基本的には貯金を切り崩す生活でした。
ただ、価値ある旅を続けていたことで、旅中に立ち上げたクラウドファンディングは、沢山の方にご賛同いただき、目標額を達成することができました。
Kazさん:世界一周旅を決めた後、家族で旅した高知県で日本を旅しているオランダ人カップルに出会いました。
彼らは中古の車を買ってカスタマイズしたキャンピングカーで、3年間旅をしているとのこと。
私たちはバックパッカーで旅をするつもりでしたが、子連れで世界を旅するなら常に泊まる場所があって自由度も高いキャンピングカーの方が絶対に快適だよ!とアドバイスをもらいました。
海外のキャンピングカー市場は中古の売り買いも盛んと聞いて、カナダかアラスカで中古のキャンピングカーを購入しようと思いました。
その後、最初の旅先であるカナダ・アラスカで、大型キャンピングカーにするかトレーラーにするかなどすごく悩みました。
でもこの先様々な国を旅する中で、道路状況などを考えた時に日本車の四駆ピックアップが最適だろうと。
結果、「TOYOTA TUNDRA」の車種一択で探すことにしました。
キャンピングカーはアラスカ滞在中にCraigslist(日本のヤフオクのようなもの)で購入。
トラックとキャンパーは別々のオーナーから購入しました。
家族4人だと少し手狭だったり、結露など過ごしてみて多少デメリットはありましたが、何より走破性の高さは抜群でした!
故障やトラブルも少なくて良かったですね。
Kazさん:アラスカでキャンピングカーを購入し、アメリカ大陸を52,000km南下して縦断。
ところが2020年3月グアテマラ滞在中に、コロナのパンデミックが始まり、陸路国境が閉鎖されてキャンピングカー旅が足止めとなってしまいました。
グアテマラから南は国境をすべて閉めていましたが、メキシコはコロナになってから一度も国境を閉めていなかったんです。
半年間グアテマラでコンドミニアムを借りて過ごしてましたが、南下するのを諦めてメキシコに戻りました。
結果、コロナで2年間キャンピングカー旅が足止めになりましたね。
その後、船で南アフリカ共和国へ渡り、アフリカ大陸を北上、中東・ヨーロッパ・イラン・中央アジアのシルクロードを抜け、ロシアを走りユーラシア大陸を横断し、世界一周を達成。
5年かけて訪問した国は50カ国、走行距離は地球3周分の12万km!
2024年5月24日、無事日本に帰国しました。
※記事の下にある動画で旅のルートをわかりやすくご覧いただけます
Kazさん:一番感動したところは「ウユニ塩湖」ですね。
東京都の5個分の大きさがあるんですけど、どこを見渡しても空と雲と塩の大地という幻想的な景色が広がってる。
はるか昔は海だったこの場所はまさに大自然が生み出す景色で、こんな素晴らしいロケーションで車中泊できたのは最高でしたね!
鏡張りの景色は自然の色々な条件が重ならないとできないんですけど、鏡張りと夕焼けのコラボレーションを見ることができました。
Mimiさん:私はアルゼンチンのパタゴニア地方にある「ペリト・モレノ氷河」です。
何万年という歳月をかけてできた大迫力の氷河は、息をのむほどの絶景でした。特に氷河の透き通った青さに感動しました。
運よく、氷河が崩落する瞬間を見ることができたんですけど、地響きのようなすごい轟音がするんです。
あとは、アウトドアメーカーのPatagoniaのロゴにもなっている「フィッツロイ」の登山も景色が壮大でした。
フィッツロイの聳え立つ様は独特な存在感があって、すごくかっこいいんです!
4月中旬から後半とわずかな時期しか見れない紅葉の時期に来れたのも、感動でした。
様々な国を旅する中で車中泊場所はどのように探していたのか、旅でのトラブルはどんなことがあったのか?
また、その間の子どもの教育や世界一周旅で得られたことなど、気になる情報は以下👇の後編インタビュー記事でご紹介します!
年間30-40日、家族4人でハイエース+キャンピングトレーラーで車中泊しながら、サーフィンやスキーなどアウトドアを楽しむ。 冬だけ雪国で二拠点生活するなど、「旅」をテーマに場所に縛られない働き方・ライフスタイルを満喫中。