ディーゼル車では厳しい排ガス規制が定められており、せっかく買った車が実は大都市圏では走行できないなんてことも…。
ここでは、車を選ぶときの選び方として、排ガス規制の見方について記載しています。
せっかくならパワーのあるディーゼル車に乗ってみたいというかた、「排ガス規制」について考えたことはありますか?
実は大都市圏では「排ガス規制」により登録や走行ができない車両が存在します。
買ったけど実は車両登録できていなかった…となる前に、ぜひ排ガス規制を理解したうえでバンライフに出かけましょう。
排ガス規制は、自動車の排ガスによる公害防止を目的として、1966年から国土交通省により対策が講じられています。
ディーゼル車は、エンジンの仕組みの都合上、ガソリン車に比べて高温高圧になるため窒素酸化物(NOx)が発生しやすく、また不完全燃焼によって、黒煙の元になるスス(PM)が排出されやすいという特徴があります。
そして、国の規制に加えて大都市圏では条例が定められており、独自の規制も存在します。
そのため、ディーゼル車は、比較的最近の車両でも規制対象になるケースがあります。
これこそが難しく、実は熟知している人はほんのひと握りに過ぎません。
ここではそんな排ガス規制について解説していきます。
排ガス規制の条例は3つのエリアでそれぞれ設けられています。
①関東圏(埼玉県、東京都、千葉県、神奈川県)
②東海圏(愛知県、三重県)
③関西圏(大阪府、兵庫県)
島や村など一部の地域ではこの枠組みの規制対象外となっていますが、基本的には前述した都道府県が対象地域と考えましょう。
関東の規制対象地域に流入(そのエリアを走行すること)するには、「九都県市粒子状物質減少装置装着」と記載された指定のステッカーを貼り付ける必要があります。
関西への流入も同様に、大阪府流入規制の「車種規制適合車」というステッカーを貼り付けなければなりません。
これらは適合車種であることが一目でわかるように設けられた制度です。
東海では独自のステッカーはないため、関東もしくは関西のステッカーの貼り付けによって適合と判断されます。
これらのステッカーが貼り付けられている車は全国で走行が可能となっています。
関東の規制はさらに2種類に分かれ、埼玉県・東京都のみ規制する「長期規制」と千葉県・神奈川県も含めた全エリアを規制する「新短期規制」などがあります。
長期規制の車両は、車検証には「(NOx・PM)適合」と記載されており、埼玉県・東京都でもナンバーは付けられますが、実は流入不可のため注意が必要です。
規制には、登録の規制と流入の規制の2種類があります。
登録の規制は、規制対象となる車が対象地域での登録ができないというものです。ただし、本拠地が規制対象地域の外であれば、対策地域を走ることは問題ありません。排ガス記号がKD, KEなど、長期規制より前の車両が対象です。
流入の規制は、対象地域で走行できないという規制で、トラックやバスをベースにした車両が対象です。
キャンピングカーのベースになるようなハイエースやコースターなどはトラック・バスの排ガス記号が割り当てられており、これらの車両は原則として流入できません。
改造して8ナンバーを取得しても、ベースがトラック・バスの場合は規制の対象となります。ディーゼル車を購入の際は、トラック・バスがベースになっているか、乗用車がベースになっているかをまず確認しましょう。
改造前の車検証の用途欄が「貨物」「乗合」となっている車両はトラック・バスをベースにしています。
※例外ですが、乗用車に構造変更をして3ナンバーを取得すると、規制対象から外れます。
お手元に車検証をご用意ください。
①まずは下半分の記載を見て、「(NOx・PM)適合」と記載されているかを確認!
②適合している場合、東海、関西へは登録・流入が可能となり、不適合の場合、流入規制の対象となります。
③次に、上半分に記載されている「型式」を確認しましょう。
ハイフンで区切られた前後に記号や数字が並んでいますが、ハイフン前の文字数を確認します。
U, K, Pなど1桁の場合は不適合車(長期規制より前)、ADG, LKGなど3桁の場合は適合車(新短期規制以降)ですが、2桁の場合は適合車と不適合車に分かれます。
P, Vから始まる2桁の車両は新短期規制をクリアしているため、規制の対象外です。
それ以外の車両は登録規制や流入規制になるものがあります。
①乗用車のため登録規制のみ
KD
②長期規制より前のため流入、登録不可
KA〜KG/HA~HC/DA〜DJ/WA〜WJ
③長期規制以降、新短期規制より前のため、埼玉・東京のみ流入不可
KH〜KR/HD〜HY/DK〜DW/WK〜WW/TF〜TK
XF〜XK/LF〜LK/YF〜YK/UF〜UK/ZF〜ZK
④新短期規制以降のため、全国流入可
KS,HZ,TL,TM,XL,XM,LL,LM,YL,YM,UL,UM,ZL,ZM
PおよびVから始まる2桁
上記に当てはまらない、または不明な場合は各自治体の環境局等に問い合わせると、その車両が自治体で登録されているかどうかを確認できます。
ただし、対策装置を装着しても自治体に届出をしていない場合、実際には走行可能にもかかわらず環境局では走行不可と判断されるケースもあります。
車両の資料の中に対策装置装着の証明書があるかを必ず確認しましょう。
長期規制以降、新短期規制より前:埼玉・東京の流入をするためには酸化触媒やDPFなど、対策装置の装着が必要です。エンジンのタイプによって金額は異なりますが、部品代は30万円程度で更新可能です。
長期規制より前:関東・東海・関西への流入をするためにはNOx・PM低減装置の装着が必要です。前述の長期規制以降の車両よりも装置の費用は高く、数百万円の対策費用が必要になることもあります。
・3,5,7ナンバーの乗用車であるか
・乗用ベースか商用ベースか
・車検証にNOx・PM適用対象と記載されているか
・排ガス記号が2桁以下でP,Vから始まっているか
・対策装置取り付けのステッカーは貼られているか
・対策装置はついているか
【キーワード】
長期規制より前:関東・東海・関西で登録・流入不可
新短期規制より前:埼玉東京は流入不可
この規制に対する条例違反は、車両の運転者が罰せられるため、ホルダーの皆様がご注意いただくのはもちろん、Carstayでゲストの方が運転する場合はゲストが罰せられてしまいます。
ご自身のお車をCarstayで共同使用する際は、ゲストの方が対策地域に流入するかどうかを事前に確認の上、流入することが判明したら共同使用をお断りするなど、法令遵守のご対応をよろしくお願いします。
なんとなく聞いたことはあるけどよくわからない、でも実は都市部で走るためにはとても大切な条例です。気になる車があっても、まずはお住まいの地域が排ガス規制の対象になっていないか、またご自身の車が対象地域に入れるかどうかを確認して、自分だけの車、自分だけのバンライフを楽しんでくださいね!