「嫁と姑」。この言葉を聞き、ドロドロとした、何か面倒臭さも感じさせる関係を想像する方は多いのではないでしょうか。
自由な時間を楽しむバンライフとは、なんだか対極的な存在にも思えます。
そんな言葉を盛り込んだYouTubeチャンネル「嫁vs姑 キャンピングカーのある暮らし」を発見。
壮絶な家族バトルを妄想しつつ、お話を伺いました。
ところが、お話から見えてきたのは「家族とは何か」「バンライフが起こした人生への変化」「挑戦に年齢は関係ないこと」。
嫁と姑だからこそ感じられる、キャンピングカーライフの魅力に迫りました。
姑さん:息子からの提案がきっかけで、約1年前からYouTubeチャンネルを始めました。
幼少期から「キャンピングカーで日本一周をすること」が私の夢だったんです。
二世帯住宅に住む息子にもその話を伝えており、いつしかそれは家族の夢になっていました。
夢を家族内の話で終わらせるのではなく、YouTubeで発信することで、想いに共感する仲間ができたり、誰かにエネルギーを与えられたりすることが出来るのでは、と息子は思っていたようです。
二世帯が暮らす家族の生活や車中泊、そして母と息子の趣味に巻き込まれて、徐々にキャンピングライフへ夢中になる嫁の様子を撮影しています。
嫁と姑が登場するチャンネルがYouTube内では珍しく、興味をひくために、チャンネル名へ盛り込みました。
名前とは裏腹に、実は日本一の仲良しファミリーとして発信することも目標なんです。
姑さん:実は、33歳でパニック障害を発症し、39歳で主人を亡くした経験をしています。
チャンネルを始める以前は、息子と娘を育てることに必死でした。
自分の親と二世帯住宅で過ごしていたため、家族の助けがあり肉体的な苦労はなかったものの、母親一人で何度も大きな決断をしなければいけないことは精神的に苦しかったです。
息子の大学受験など、人生の一大事にいつでも相談ができる存在がいなかったことは辛かったですね。
もしかしたら、そんな私の辛さを息子は感じ取って、自分を育ててくれた恩返しにYouTubeでの発信を提案してくれたのかもしれません。
とはいえ、辛いこともありましたが、楽しい思い出の方が多いですよ。
嫁さん:結婚をして、3年前から姑さんとの二世帯生活が始まりました。
辛い経験をされていることは知っていましたが、車中泊やキャンピングライフに挑戦して生きている姿から、いつもエネルギーをもらっています。
一緒にいて楽しいですし、心地よく過ごせています。
姑さん:小学校の時から、リヤカーで日本一周をする方の本や自分の秘密基地を作ることが好きで、いつの日か私もそんな生活をすると妄想していました。
自分の足でどこかへ行くことや自分の空間を持つことに興味を持っていたんです。
子どもの頃は、車で日本一周をすることへの発想はなく、その時に自分ができる方法を想像していました。
年齢を重ねるにつれて、車という手段がしっくりと来るようになったんだと思います。
世界一周は少し怖いイメージを持っていますが、日本一周は想像するだけでワクワクしている自分がいました。
息子が小さい頃は、週末にマツダのボンゴで旅に出て、車中泊をすることもありました。
ただ、息子が少年団に入ってからは、車中泊をすることがパタリと無くなりました。
姑さん:きっかけは二世帯住宅をリフォームしたことでした。必然的に息子との会話が増え、日本一周への想いを話すことも増えました。
昔の私のように、これから息子たちは子育ての時間が増えて、したいことがなかなかできなくなってしまう。
だからこそ、今キャンピングカーを購入して、今日本一周を叶えることにしました。
やりたいなら今を楽しもう、さらに歳を重ねたら、さらに大きな夢を叶えようと伝えました。
ただ、いざキャンピングカーを購入してみるとこだわりは増えますね。
私一人で楽しむなら軽自動車で十分なのですが、息子家族も楽しめる大きさの車を購入してみると、
買い足したいものがどんどん出てきます。
孫たちの年齢によってキャンピングカーを変えることも検討していますが、それは宝くじが当たったら実現するかな。
姑さん:何と言っても、「自分だけの秘密基地」で移動できることが魅力ですね。
自分の好きな物を連れて行けることも、楽しみの一つです。
家族との関わり合いも大事にしていますが、一人の時間も好きです。
二世帯住宅に住んでいるからこそ、良い距離感を保ちつつ、自分の好きな時間も楽しむことが、仲良しの秘訣かもしれません。
ただ、一人での長距離運転は大変です。
車中泊をする場所も食事も、全て自分で計画をして決めなくてはいけない。
行き当たりばったりな旅も好きですが、自分で決めることが多すぎると疲れてしまいます。
嫁さん:キャンピングカーのおかげで、家事から解放され、リラックスできる時間を作れています。
旅を楽しむ子どもたちの姿が見れることも、嬉しいです。
その楽しみがあるので旅に出るのですが、荷物の準備や帰ってからの洗濯、ゴミの分別は頭を悩ませますね。
姑さん:58歳になっても、長距離運転や大型フェリーへの乗船、食事、と初めてづくしです。
だからこそ「自分の人生を生きている」ことを強く感じられます。
若い世代と出会うことが増え、がむしゃらに生きている姿を見ることで
「私もまだまだ楽しめるぞ、楽しみたいぞ」と年齢を言い訳にしないようになったように思います。
嫁さん:そんな姑さんの姿を見ていて、挑戦に年齢は関係ないことを教えてもらっています。
私にとっても、キャンピングカーライフは人生初の試みで、挑戦です。
姑さん:家族があってこその自分自身だと思っています。子どもたちに、早くに親を亡くす経験をさせていることもあり、私にとっては家族がとても大事です。
家を離れて、短期間で日本一周をしようと思えばできるのかもしれませんが、帰る場所があるからこそ、なかなか飛び出せない自分もいます。
自分の存在も大切ですが、家族という意思決定をする存在も共に大切にしたいです。
嫁さん:家族は、一緒に過ごす時間の楽しさを教えてくれる存在です。
幼少期は家族と過ごせていましたが、年齢を重ねるにつれて、家族との思い出が減っていってしまいました。
結婚してからは、家族との時間の大切さや在りたい家族観を教えてもらっている気がします。
嫁さん:子育てがひと段落したら、まずは一人旅をしてみたいです。姑さんの動画内でしか観たことがない世界を、自分も経験してみたいです。
姑さん:心身と相談しながら、自分のペースで、まだ足を踏み入れていない地域を制覇したいですね。
そして、50代後半からでも、女性でも、病気があっても、車中泊が始められることを伝えていきたいです。
YouTubeだけではなく、手で見れるツールとして、本の出版をしてみたいです。
発信することで誰かに勇気を与えられるのであれば、助けになりたいと思っています。
「『嫁と姑』は肩書きでしかないなぁ。」
お二人のお話を伺い、感じたことです。
インタビューでは、姑さんと嫁さんそれぞれが、一人の人間としてお互いを尊敬したり、支え合ったりしているエピソードばかりが溢れていました。
また、年齢を理由に何かを諦めるときは、夢を語っていないのか、それともロールモデルが側にいないときなのかもしれない、と気付かされました。
今回のお話を通して、身近な人が夢を叶えてくれる存在であることを忘れたくない、と強く思えました。
鹿児島県の二世帯住宅で暮らす嫁さんと姑さん。姑さんの幼少期からの夢である「キャンピングカーで日本一周」を
一緒に叶えたい息子さんの想いから、YouTubeでの発信がスタート。
チャンネル内の音楽はお孫さんや娘さん、息子さんと共に、家族一体となり制作をされているとのこと。
各SNSで発信されている車中泊の様子も、ぜひチェックしてみてくださいね。