休日バンライフ仕様にDIYしたバンに乗っていると「これはキャンピングカーですか?」と声をかけられることがよくあるのですが、正式には愛車のバンはキャンピングカーではありません。
キャンピングカーとして8ナンバーを取得するためには細かな規定(構造要件)があり、我が家のバンはそれらを満たしていないため、車としては4ナンバーの小型貨物車という扱いです。
今回はそんな我が家のバンをキャンピングカーと比較してまとめてみました。
我が家の愛車は中古で購入したマツダのボンゴブローニイバンをDIYした車中泊仕様車。普段使いの車としては大きいですが、キャンピングカーと比べるとかなり小さなサイズです。
この狭いスペースを有効活用するために、まずは自分たちが休日バンライフでどんな過ごし方をしたいのかを考えました。そうすることで車内の装備の中でどうしても優先したい部分や、逆に省略してもいい部分が明確になります。私たちが優先したのは常設のベッドと車内を木で覆うこと、反対に諦めたものはキッチン設備とソファーやテーブル、そしてキャンピングカーとしての8ナンバーの取得でした。
▼DIYで出来上がったバンライフ仕様車の内装はぜひこちらの記事でご覧ください!
理想を詰め込んで出来上がったバンライフ仕様車ですが、キャブコンと呼ばれるキャンピングカーとは何がどのように違うのかを比較してみましょう。
キャンピングカーの構造要件の中でも一番の問題になるのが、車内の高さの要件です。調理用のシンクやコンロの前に立つ作業スペースに、1600mmの高さが必要となっています。実用面で、小柄な女性であれば立って調理ができる、ということだと思います。
一般的に市販されているバンでこの1600mmの室内高を確保できるのはハイエースやキャラバンのハイルーフ車だけであり、我が家のボンゴブローニイも室内高1260mmと足りていません。
キャンピングカーの構造要件で設置が義務付けられている装備の中で、我が家のバンにない物。それはギャレーと呼ばれるキッチン設備です。
室内高が足りていないため、キッチン設備を設置しても8ナンバー登録はできないことがわかりました。それならば無理にキッチンを設置する必要はない、という結論に至りました。
私たち夫婦の休日バンライフの過ごし方は、美味しいものを食べに出かけて近くの景色の良い場所に車を停めて、ゴロゴロしながら休日を堪能するといったスタイル。車内にキッチン設備を設置することよりも、その分車内を広く使えることを優先しました。
ここはバンコンも負けていない!と自信をもって言えるのは、我が家のバンに常設している大きなベッド。
縦の長さは170cmとやや短めに切っていますが、横幅はダブルベッド用の140cmのマットレスを使用しています。
DIYした車中泊仕様車では、狭い車内を有効利用するためにソファーと兼用する展開式のベッドも人気ですが、いつでも好きなときに横になれる寝心地の良いベッドにしたくて、丈夫な常設ベッドを設置しました。寒いときは電気毛布をかけてぬくぬく。ベッドの下は収納スペースになっています。
このこだわりのベッドに関してはキャンピングカーと比較しても見劣りすることなく、車内のお気に入りポイントです。
キャンピングカーがどうしてもDIYのバンコンよりも優れているのは、室内空間の余裕と充実した設備です。
バンの中に大型のベッドを常設したこともあり、ベッド以外の居住スペースはとても狭いです。
ベッドの下が収納スペースになっているほか、車内に設置されているのはベッド脇のブックシャルフと収納を兼ねたベンチチェスト。シンプルな作りで、収納スペースに折り畳みテーブルや電磁調理器などをしまっているので、必要に応じて取り出して使っています。スペースを有効活用できるように工夫をすることは、キャンピングカーに比べてバンのほうが必要不可欠です。
我が家のバンにはポータブル電源を複数搭載しており、車内で扇風機や電気毛布、調理用のIHなどが使えるようになっています。
しかし、キャンピングカーにはもっと大容量のサブバッテリーシステムが搭載されているものが多いです。もちろん、家庭用の電源のように使い放題ではなく制約はありますが、冷蔵庫やエアコンといった家電が使えるのはキャンピングカーの大きな魅力です。
車内の広さを活かした収納の多さもキャンピングカーの利点。車で長期間生活するような本格的なバンライフや、キャンプなどのアウトドアを兼ねた旅行などでは、どうしても荷物が多くなってしまいます。
そういった荷物をきちんと整理して収納できるスペースがあるのはキャンピングカーの良いところ。
旅を快適にしてくれる大切な要素でもあります。
市販のバンをDIYして使う際のメリットのひとつは、通勤などの普段使いにも対応できるという点です。
実のところ、私自身もDIYしたバンで毎日通勤しています。軽自動車やコンパクトカーと比べると大きな車体ですが、立体駐車場などの高さ制限に引っかかることもなく、基本的には普通車で入っていける道を問題なく通れます。
キャンピングカーは車体が大きく高さもあるため、左折時の巻き込みや横風に弱いなどの特徴があります。普段運転しているときはあまり気にしていなかったことにも注意して運転しなければなりません。そういった意味では、バンのほうが移動手段としての普段使いに向いているといえます。
DIYしたバンライフ仕様車の魅力は、コンセプトを決めて設計しDIYで完成させるまで全て自分の好みに合わせて作っていけることです。
DIYした後の車で、どんなことをしたいのか。それを最初に決めて、そのために何を優先して設置して、何を省略するか。そういった部分からしっかりと自分たちの使い方を考えていけるのも、DIYの楽しさです。必要な設備がちゃんと揃ってさえいれば車内が狭いことで不便に感じることも少なく、快適に旅を楽しむことができます。
DIYをすれば、床や壁の素材、ベッドのサイズなど、全てを自分の好みに合わせることができます。完成品のキャンピングカーを購入するよりも時間はかかりますが、その分全てを自分好みに仕上げた空間で過ごすという贅沢さを堪能することができます。
車体が大きく室内も広いキャンピングカーは、装備の充実さからさまざまな使い方に対応できる万能性を持っています。
しかし車体が小さいバンであっても、使い方をしっかりと決めてDIYすることで、狭さを苦にすることなくバンライフを楽しむことができます。
ただ、個人的な意見ではありますが、1つだけどうしてもキャンピングカーが羨ましいと感じる点が、車内の高さです。
色々なキャンピングカーの中に入らせてもらったことがありますが、身長184cmの私でも普通に立てるようなキャンピングカーもありました。
座って作業をしたりベッドで横になっていると車高はあまり気になりませんが、やはり「直立できる」というのは車内で体を動かすときに非常に羨ましいです。次に車を乗り換える際にはこのキャンピングカーにして、キャンピングカーの車内をDIYで一から自分たち仕様に作り変えてみたいと思っています。
夢が広がるキャンピングカー。ぜひ、それぞれの自由・不自由さどちらも楽しみながら、楽しいバンライフを送ってくださいね。